超巨大ブラックホールからのメッセージ

【2003年11月17日 ESO Press Release

ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(The Very Large Telescope)を用いた銀河系中心部の赤外線観測から、ひじょうに強力な赤外線フレアが捉えられた。ブラックホールに高温のガスが落ち込む際に放射された赤外線を見ているのだと考えられている。

(フレアが起こっているようすを捉えた画像)

銀河系中心部の赤外線画像。左は白円の部分が暗いが、右はフレアが起こって明るくなっている(提供:ESO)

この歴史的な瞬間が目撃されたのは、今年5月9日のことだ。その後に行われた詳しい観測から、このフレアが起こった場所はブラックホールがあると考えられている場所からほんの数光時間(光が1時間で進む距離の数倍)のところであることがわかった。

ブラックホールには、中心からある一定の距離以内に近づくと二度と外へ出られないという「事象の地平線」と呼ばれる距離が存在するが、フレアが観測されたのは事象の地平線のすぐ外側に対応する。おそらくフレアは、後戻りできない事象の地平線を今まさに越えようとしているガスの最後の輝きなのだろう。

また、フレアの強度は数分間隔で細かく変動しており、さらに17分周期で大きく変動していることもわかった。この17分の変動がガスがブラックホールの周りを回転することによるものだとすると、ブラックホール自身も高速で自転していることが強く示唆されるということだ。

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