【レポート】日本プラネタリウム協会総会(12月3〜5日、佐賀県立宇宙科学館)
【2003年12月11日 アストロアーツ】
さる12月3日から5日の3日間、佐賀県立宇宙科学館にて、日本プラネタリウム協会(JPS)の総会・研究協議会が開催された。全国から52館7団体、総計114名(うちベンダー28名)のプラネタリウム関係者が集まり、プラネタリウムの運営や番組作成などさまざまなテーマについて討議が交わされた。
プラネタリウム関連メーカーも多数参加し会場にブースを構え、さまざまなデモを行なった。
五藤光学研究所は、持ち運びできる天体投映機「NEX」のデモを行なった。また、プラネタリウム番組ソフトでは、ムーミンや、石川賢治氏の『月光浴』をテーマにしたものを紹介。さらに小学生向けプラネタリウム学習投映コンテンツ「太陽と9つの惑星」のデモも行なわれていた。
また、全天周CGシステム「バーチャリウムII」が、来年度には4館に導入される予定を発表した。このうち盛岡市子ども科学館には、機械式とCGが完全に連動したシステムが導入され、これまでとは違ったプラネタリウム空間を楽しむことができるだろう。
コニカミノルタプラネタリウムは、全天周CGプラネタリウム「スーパーメディアグローブ」の試作品デモを行った。「スーパーメディアグローブ」は再来年に玉川学園に納入される予定だ。コンテンツでも天文ニュースをまとめた月刊アストロニュースや、ピカチュウ、ミッフィーなどのキャラクターが登場するプラネタリウム番組を展示。ライバルメーカーとキャラクター系コンテンツ、CGプラネタリウムで競いあうことになる。
また、コニカミノルタプラネタリウムの運営により復活が決まった東京・池袋の「サンシャインプラネタリウム」においては、各地からJPS会場に集まったプラネタリウム解説者に賛同を呼びかけ参加を募っていたので、今後の動きも楽しみだ。
ソニーも、ドームに星空投影する「スタープロジェクタ」をデモ。本体は光学式だが、組立て式ドーム内には一眼式の全天周CG投影機も設置していた。スタープロジェクタはこれが初公開ではないが、プラネタリウム関係者の集会でのデモは今回が初めてで、好評を得ていた。現在マーケットリサーチ中で製品化は未定とのこと。
アストロアーツも壁面プラネタリウム「ステラプロジェクター」を参考出品。ステラナビゲータの描画エンジンを使用し、ビデオプロジェクタで壁面に星空を投影するシステムで、ジョイスティックで星空が滑らかに動くようすは注目を集めた。
このほか、圧倒的な数の星を投影する大平貴之氏の自作プラネタリウム「メガスターII」や、九州でプラネタリウム番組を作成する星工房(梅村製作所)、ビデオプロジェクターのバルコによるデモも行われた。
各社のブースをまわった印象としては、各社ともさまざまなCGシステムを提案しており、いよいよプラネタリウムにもデジタルの時代が到来したことが感じられた。また従来の光学式のプラネタリウムとデジタル機器の双方の良い点を取り入れた連携が見られたことが特徴と言えるだろう。
次回のJPS総会は、来年6月に川口市立科学館にて、ミノルタプラネタリウムのユーザーで構成された全日本プラネタリウム連絡協議会と共同で総会が開催される予定だ。なお、現JPS会長の川崎市青少年科学館の若宮崇令氏に代わり、名古屋科学館の北原政子氏が次期会長となることが決定した。なお、副会長は杉並区立科学館の伊東昌市氏が引き続き行うこととなった。