金星の太陽面通過中、国際宇宙ステーションも太陽面を通過
【2004年6月7日 国立天文台 アストロ・トピックス(19)】
いよいよ金星が太陽を横切る太陽面(日面)通過(経過)現象が6月8日に迫ってきましたが、一部の地域では、金星に加えて、国際宇宙ステーションも太陽の表面を横切っていくのが見えると予想されています。
国際掩蔽観測者協会(IOTA)のダナム(David Dunham)によると、世界各地で国際宇宙ステーションが太陽面を通過して見られる地域がありますが、日本では二度そのチャンスがあるとのことです。最初のチャンスは、16時18分過ぎで、北海道の留萌から旭川の南を通って音別に抜ける地域となります。二度目のチャンスは17時53分過ぎで、今度は鳥取県米子の東から兵庫県姫路と加古川、大阪府泉佐野から三重県熊野に抜ける地域となります。
ただし、国際宇宙ステーションは地球に近いため、これらの地域でも中心線から数キロメートルも離れると、太陽からはずれてしまい、通過が見られなくなります。また、二回目の方は日没が近く、太陽の高度が低くなって条件はよくありません。さらに国際宇宙ステーションの見かけの動きはきわめて速いため、太陽面を通過するのに要する時間はせいぜい1秒から2秒程度です。事前の予報を入手し、その場所で注意深く観察しないと見られる確率は低いでしょう
国際宇宙ステーションは、しばしば惑星面を通過する現象なども予報がされていて、実際にそれを写真やビデオに撮影した人もいるようです。今回は歴史的な現象である金星の影と共に、国際宇宙ステーションの影が太陽面を通過する様子を撮影できるかもしれません。金星の太陽面通過現象が日本で見られるのは、1874年(明治7年)以来、実に130年ぶりですが、さすがに当時は人工衛星も飛んでいませんから、このようなダブル通過は想像だにしなかったでしょう。
なお、8日は全国的に天候が悪いという予報が出ていますので、インターネットで眺めるのが最善かも知れません。各地の中継サイトの情報は国立天文台のホームページからも辿れますので、ご利用ください。