火星で発見された球体「ブルーベリー」とユタ州の球状の石に共通点
【2004年6月28日 University of Utah News and Public Relations】
火星探査車オポチュニティーによって発見された小さな火星の球体「ブルーベリー」とユタ州の球状の石についての研究結果が発表された。発表によれば、いずれの物体も水の流れによって鉱物が沈殿して作られたものだということだ。
球状の石が存在するのは、アメリカ、ユタ州の南に位置する、ザイオン国立公園やキャピタルリーフ国立公園などをはじめとする複数のエリアだ。研究チームでは、オポチュニティーの到着以前から、火星上にもユタ州の球状の石と同様のものがあるのではないかと考えてきたという。
ユタ州の丸い石の直径は1mmから20cm程度で、火星の小さな球体と同じくらいのサイズのものも含まれている。また、火星の球体もユタの球状の石も共にヘマタイト(酸化鉄)の塊であることが共通している。一方、火星とユタ州の球体の違いも明らかにされている。たとえば、火星のものは純粋な酸化鉄の結晶であるのに対してユタ州のものは酸化鉄の含有量が数パーセントから30パーセントほどである点が異なっている。
今回の研究結果では、火星の球体が酸性の地下水の沈殿によるものであることが示されている。われわれの地球では、場所や温度に関係なく水さえあればいたる所に生物が存在するが、地球でこのような沈殿物が作られる際にはバクテリアなどがそのスピードを速めることがわかっており、火星の球体と微生物の活動との関連性についての研究が予定されている。研究が進むことで、大量の水から期待される火星の生命体の存在について、何らかの答が得られることを期待したい。