銀河系中心付近に1億度の超高温ガスが存在

【2004年7月5日 NASA News Release / Chandra Photo Album

NASAのチャンドラX線観測衛星による観測で、天の川銀河系の中心付近に高温のガスが広がって存在している証拠が発見された。ガスの温度は1億度にも達しているが、その原因はわかっていない。

(天の川銀河系の中心の画像)

天の川銀河系の中心。色はエネルギーに応じて着けられている(提供:NASA/CXC/UCLA/M. Muno et al.)

観測は銀河系の中心130光年の範囲を対象に行われた。観測結果から中性子星やブラックホール、白色矮星、手前にある星、さらに背後の銀河など2300個あまりの点状のX線源を取り除いたところ、1000万度の高温ガスと1億度もの高温ガスの存在が明らかになったのである。

高温の原因として、さまざまな候補があげられている。超新星による衝撃波が起こす磁気嵐、または、超新星の衝撃波によって作られる高エネルギー陽子と電子などだ。しかし、いずれの仮定も問題がある。得られたスペクトルは高エネルギー粒子による加熱と一致しておらず、さらに銀河系中心の磁場の構造はこのような現象を起こすには不適なのだ。超新星爆発の発生率そのものが低すぎるという問題もある。

また、実際には未発見の点状の発生源がこの領域に集中しており、それが拡散して見えているだけではないかという考え方もある。しかし、この考え方を説明するには20万個以上の発生源が領域内に必要とされるなどの問題がある。謎は深まるばかりだ。

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