スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡、ハロウィーンのお化けを捉える

【2004年11月2日 Spitzer News Room

宇宙のちりに隠されたモンスターの姿が、NASAのスピッツァー宇宙赤外線望遠鏡によってあらわになった。くぼんだ2つの目と叫び声をあげる口を思わせるようすはハロウィーンのお化けのようにも見えるが、これは生まれたばかりの星を取り囲んでいるDR 6星雲という星形成領域だ。

(DR 6の画像)

星形成領域DR 6。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/S.Carey (Caltech))

怪しげな姿を見せるDR 6星雲は、われわれから3900光年離れたはくちょう座にある。ここには、太陽の10〜20倍の質量を持つ10個ほどの新しい星が存在している。お化けの目と口のように見える部分は、鼻の辺りに存在する星からの放射や恒星風によってガスが吹き飛ばされ、星雲に穴が開けられている場所だ。目や口の部分に見られる緑色はガスの存在を示しており、赤い部分や巻き毛のように見える領域には、新しい星を生み出したチリが分布している。

星雲の鼻の部分では、第2世代の星が生まれつつある。これらの星は、自らの住み処である星のゆりかごに影響を及ぼし、その影響によってさらに次世代の星が誕生していく。スピッツァー宇宙赤外線望遠鏡の高い感度と高分解能のおかげで、このような星形成サイクルが詳しく観測できるというわけである。