土星探査機カッシーニがタイタンへ最初の接近、各種データを公開
【2004年11月4日 Cassini-Huygens News(1) / (2) / (3) 】
土星探査機カッシーニが土星の衛星タイタンへ初接近し、レーダーによる観測を行った。タイタン表面の地形の一部を示す画像が公開され、タイタンに平坦な地形があることが明らかになった。また、タイタンから放射されるマイクロ波も検出され、可視光観測で観測される特徴との相関関係が示された。
タイタンの黒猫
この画像は10月26日に探査機カッシーニがタイタン上空1600kmを飛行しながら捉えたものだ。タイタンの北半球50N、54W地点を中心とした幅250km、縦478kmの範囲が捉えられているが、可視光画像では今までわれわれが見たことのなかった領域である。画像の解像度は高く、300mから1km程度の地形の特徴もしっかりと捉えられている。タイタン表面には複雑な地形が見える。また、クレーターはほとんどない。
明るく捉えられている部分は比較的粗い地形で、黒い領域はなだらかな場所だと考えられている。また、特徴的なのは、猫のような形に見える黒くなめらかな領域だ。このあたりには湖のようなものがあるかもしれないとのことである。
タイタンのささやき
この図に示された線と色は、タイタンからのマイクロ波放射を示すものだ。明暗は可視光画像から得られたものを重ねている。捉えられたマイクロ波はタイタンそのものから放射されているもので、可視光画像に見られるような太陽からの反射ではない。
マイクロ波の強弱からわかることは、温度分布や表面の起伏など表面の特徴だ。マイクロ波で明るく見える領域と可視光で暗く見える領域は相関関係を見せており、逆に可視光で明るく見えるところでは、マイクロ波では暗くなっている。
タイタンの地形
タイタンの地形を表すこのグラフは、探査機カッシーニのレーダー機器で観測された高度測量データから作成されたもので、地形の高度が示されている。観測は、タイタン上空5000kmから10000kmのところで行われたもので、北緯25度、西経5度付近の地形のデータである。
データによって示されているのは、400km以上にわたって高度変化がわずか150mしかないということで、この領域ではタイタンはひじょうに平坦な地形であることがわかる。