多胡さん、櫻井さんがとも座に新星を発見
【2004年11月22日 VSOLJニュース(132) / 国立天文台 アストロ・トピックス(64)】
(VSOLJニュース)
多胡昭彦さん(岡山県津山市)と櫻井幸夫さん(茨城県水戸市)が、とも座に新星を発見されました。お二方ともベテランの天体捜索家で、これまでにも数多くの新星を発見されてきています。
新星の位置は以下のとおりです。冬の天の川の中にあたります。
赤経 7時41分53.6秒 赤緯 -27度06分38秒 (2000年分点) 新星周辺の星図
これまでに報告されている明るさは以下のとおりです(時刻はすべて世界時)。CはCCDによる観測、pは写真です。
11月12日 | 13.6等以下 | C | 櫻井 |
11月16日 | 13.6等以下 | C | 櫻井 |
16.76日 | 11.5等以下 | p | 多胡 |
20.672日 | 7.6等 | p | 多胡 |
20.812日 | 7.4等 | C | 櫻井 |
21.625日 | 6.9等 | C | 串田麗樹(山梨県) |
21.701日 | 7.0等 | C | 門田健一(埼玉県) |
門田さんは、この位置のごく近くに、18等ほどの星があったことを報告しています。この星が増光したものとすると、10等級(1万倍)以上明るくなったと推定されます。
21日には岡山県の美星天文台で分光が行われ、P Cyg型の水素線が目立つ典型的な新星と判明しています。少なくとも数日間は、双眼鏡でも見られることでしょう。
(国立天文台 アストロ・トピックス)
岡山県津山市にお住いの多胡昭彦(たごあきひこ)さんと、茨城県水戸市にお住まいの櫻井幸夫(さくらいゆきお)さんが、とも座に新星を発見し、とも座新星2004(Nova Puppis 2004)と命名されました。
多胡さんは、11月20.672日(世界時、以下同様)に撮影した写真から、また櫻井さんは11月20.812日に撮影したデジタル写真画像上から、それぞれ独立に発見したものです。
どちらも新星発見のベテランで、多胡さんは2001年8月にはくちょう座に新星(はくちょう座新星2001(Nova Cygni 2001 No.2)を発見(国立天文台・天文ニュース 467)、また、櫻井さんは、2000年2月にいて座に新星(いて座新星2000)を発見しています(同 326)。それぞれ、新星類似天体を含めての発見数は、多胡さんが4つ目、櫻井さんが7つ目になります。
両者の発見は、兵庫県洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて、国際天文学連合へ報告されました。新星の位置は、山梨県八ヶ岳南麓天文台の串田麗樹(くしだれいき)さんの測定によると、次のとおりです。
赤経 7時41分53.56秒 赤緯 -27度06分38.3秒 (2000年分点)
さらに埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんらの観測では、この新星の明るさは7等級ということです。
岡山県美星町にある美星天文台の口径101cm望遠鏡では、11月21.75日にさっそく分光観測が行われ、新星爆発特有の観測結果が得られています。これも発見直後の迅速な観測データであり、貴重なものといえるでしょう。