天の川銀河に潜んでいた超星団
【2005年3月29日 ESO Press Release】
ESO(ヨーロッパ南天天文台)の望遠鏡を使った観測で、天の川銀河に超星団(super star cluster)が発見された。超星団としてはわれわれにもっとも近いこの星団には、数百もの大質量星が存在しており、中には太陽の百万倍もの明るさで輝くものや、土星の軌道サイズという巨大な星も観測されている。
超星団とは、何十万個もの若い星がひじょうにコンパクトな領域にひしめいている天体で、星や惑星を生み出す究極の環境と言える。今まで発見された超星団はかなり遠方にあり、ペアや群になっている銀河にしか発見されていなかった。
新たに発見された超星団Westerlund 1は、これまでは南天のさいだん座にある散開星団として知られてきた天体である。2001年の観測でも、ここにウォルフ・ライエ星と呼ばれるひじょうに高温で質量の大きな星が10個以上確認されていた。今回、大量の星間雲やガスに隠されていた巨大な構造の中に観測されたのは、数百個の大質量星だ。中には、太陽の百万倍もの明るさで輝くものもあれば、太陽の2000倍サイズ(土星軌道に相当する大きさ)の星もある。
今までは遠方にしか発見されていなかった超星団と比べると、Westerlund 1は1000倍もわれわれに近い。今後の観測と研究で、その構造や大質量星の生と死について詳細な情報がもたらされると期待されている。