目指すは月、そして火星 − NASAの新世代ロケット「アレス」

【2006年7月6日 NASA Features

月や火星へ人類を送り込む次世代ロケットの名前を、NASAが発表した。2種類あるロケットの名前は、「アレスI」と「アレスV」。最初の目標であるアポロ以来の月有人飛行の再開は、2020年前後だ。


(「アレス」イメージ図)

左が「アレスV」、右が「アレスI」。クリックで拡大(提供:NASA)

2種類のロケットにつけられた名前には、過去への敬意と未来への展望が込められている。「I」と「V」という番号は、月へ初めて人類を送り込んだアポロ計画に使われたロケット、「サターンI」と「サターンV」にちなむ。また、「アレス(Ares)」とは火星の異称であり、最大の目標である火星有人飛行を意識したものだ。

「アレスI」は、主にスペースシャトルの次世代機を打ち上げるために使われるロケットで、2段式。1段目はスペースシャトルの固体燃料ロケットブーストに近い方式で、内部は5つに区切られ推進剤としてポリブタジエンアクリルニトリルを使用する。再利用可能という点も同じだ。2段目はアポロの打ち上げに使われたエンジンを改良し、液体酸素と液体水素を推進剤に使う。25トン以上の重量を地球周回低軌道へ乗せることができる。

高さ110メートルの「アレスV」は、月、そして火星へ行くのに必要な資材を運搬するのに使われる。1段目は、スペースシャトルの外部燃料タンクを大型化し液体酸素と液体水素を推進剤とする5つのエンジンを取り付けた構造となっている。2つの固体燃料ロケットブーストが補助をする。2段目はアレスIと同じだ。地球周回軌道までなら130トン、月までなら65トンの重量を運ぶことが可能。

国際宇宙ステーションISSの完成とともにスペースシャトルはその役目を終え、アレスIが運ぶ次世代機の出番となる。一度に4〜6人をISSへ届けることができるが、遅くとも2014年にはこの段階に入るという。そして、アレスI、Vがともに活躍するであろう、アポロ計画以来の有人月飛行は、2020年前後に計画されている。

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