マックノート彗星(C/2006 P1)がマイナス等級に、国内でも目撃相次ぐ
【2007年1月9日 アストロアーツ】
マックノート彗星(C/2006 P1)が、太陽のすぐ近くにあるもののマイナス1等級とひじょうに明るくなっています。国内でも観測や撮影が相次いでいて、白昼にもかかわらず撮影に成功した例もあります。10日から13日までの日没直後は、超低空ながら西の空に見えているでしょう。ほとんどの方にとってヘール・ボップ彗星以来となる、マイナス等級の彗星を目撃するチャンスです。
マックノート彗星はRobert McNaught氏によって2006年8月に発見されました。発見時は17等級でしたが、今年に入って1等級まで明るさを増していました。1月6.71日(世界時、以下同様)にはイギリスのRichard Miles氏が11倍80ミリメートルの双眼鏡を使った観測で0等に見えたことを報告しています。
日本でも観測が相次ぎました。群馬県の永井佳実氏は7.90日(日本時間8日6時36分)、11倍80ミリメートル双眼鏡による観測を行い、彗星の広がりが約2分角、尾の長さが約10分角、光度が約マイナス1等であることを報告しました。神奈川県の杉山行浩氏は8.345日(日本時間8日17時14分)に11倍80ミリメートル双眼鏡による観測を行い、広がり約5分角、尾の長さ約0.1度、光度約マイナス1等と報告しています。さらに、山口県の吉本勝己氏の8.37日(日本時間8日17時53分)における20倍100ミリメートル双眼鏡による観測では、光度約マイナス0.5等でした。
このほか、日本時間で8日の10時43分に、群馬県の小林隆男氏が白昼にマックノート彗星を撮影することに成功しました。ほかにも、日の出前や日没後の撮影に多くの方が成功しています。
近日点付近でマイナス等級になる彗星は決して珍しくありません。しかし、太陽に近すぎるとして地上からは観測されないケースが多いのです。今回マックノート彗星の観測成功が相次いでいるのは、近日点通過後の同彗星が北半球からは観測できなくなってしまうからでしょう。なお、南半球から見たマックノート彗星は近日点通過後高度をあげ、大彗星になるのではないかとも言われています。
東京渋谷のアストロアーツ本社屋上でもマックノート彗星を確認
9日夕方17時20分ごろ(日本時間)に、アストロアーツニュース編集部でも20倍60ミリメートル双眼鏡などによってマックノート彗星を観測することに成功しました。あいにく雲が出ていたため、実際に姿を見ることができたのは数十秒間だけでした。それでも、オレンジ色の空を背景に白く輝いていたこと、広がった(もしくは2つに分かれた)尾がはっきりと見えたことが印象的です。雲がなければ、肉眼で見えるほどの明るさだったのではないでしょうか。
マックノート彗星は、13日の近日点通過に向け、さらに太陽に近づいてしまいます。それでも、日没直後の西の低空に双眼鏡を向ければじゅうぶん観測できるでしょう。もちろん、太陽観測衛星SOHOのカメラ、LASCO C3の視野内を通るようすをインターネットでチェックすることもお忘れなく。
アストロアーツニュースでは、今後詳しい情報が入り次第、随時その内容をお伝えします。
《ステラナビゲータで彗星の見え方をシミュレーション》
マックノート彗星の位置を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行なってください。
ステラナビゲータ Ver.8で作成した、西の空におけるマックノート彗星のおおまかな位置
また、マックノート彗星がLASCO C3の視野内で移動していくようすを再現したアニメーションを「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータ Ver.8をご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードし、実行してください。