今が見ごろ、明るくなった変光星「ミラ」

【2007年2月20日 国立天文台 アストロ・トピックス(272)

長周期変光星の代表的な変光星、ミラ(くじら座ο(オミクロン))(注1)が、現在ひじょうに明るくなっています。変光星(注2)とは、明るさが変化する星を言います。ミラは、太陽程度か、それよりも少し大きな質量をもった星が、進化の最終段階で力学的に不安定になり、星自身が膨張と収縮を繰り返すことで、明るさが(準)周期的に明るくなったり暗くなったり変化する脈動型変光星のひとつです。この星は暗くなったときには肉眼で見えなくなるほど暗くなりますが、明るくなると肉眼でもたいへん明るい姿を見ることができます。通常の極大では、3等にとどまることもありますが、今回は2等級に達しています。

ミラの位置、変光範囲、変光周期、極大日(予報)の概略値は以下のとおり。ただし、変更範囲、周期は変動することが多く、極大予報もずれることがあります。

 赤経  02時19分20.8秒
 赤緯 -02度58分40秒(2000年分点)
 変光範囲 2.5等〜10.1等
 変光周期 332日
 極大日(予報) 2月17日頃

なお、星空でのミラの見つけ方は以下のとおりです。

今の時期の午後6時半ころ、西の空にたいへん明るい惑星である金星が見えます。また南の空の中くらいの高さには、オレンジ色に輝くおうし座のアルデバランという星があります。この2つの明るい星を結んだ線上のほぼ中間に、ミラがあります。もし星座早見盤をお持ちでしたら、それをたよりにくじら座を探して、見つけることもできます。

まだまだ寒い時期ですので、寒さ対策をしっかりして、どうぞご覧ください。

(注1)変光星ミラは、1596年8月、ファブリチウス(D Fabricius)によって発見された変光星の第1号です。古来、太陽や星は神聖なものと考えられ、天上の星ぼしの明るさが変わるなどとは、想像もできなかった時代がありました。その当時、この変光する天体が初めて見つかったため、後にヘベリウスはこの星を「不思議な星」(ステラ・ミラ)と名づけました。現在、この星が“ミラ”と呼ばれる由縁です。

(注2)変光星は周期や変光幅の大小、形によって、いくつかの型に分類されます。星間雲から生まれた星ぼしは、その質量の大小によって、その後の進化の様子が大きくかわります。ミラは大きく広がった大気をもっており、恒星干渉計の観測によると、太陽を回る地球軌道を飲み込むほど、その直径が大きいことがわかっています。しかし、ミラなどの長周期脈動型変光星の変光機構はまだ完全には解明されていません。

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