かに座55に、5つ目の系外惑星を発見

【2007年11月7日 JPL News Releases

「かに座55(55 Cnc)」に、5つ目の系外惑星が発見された。1つの恒星に、5つもの系外惑星が確認されたのは初めてのことだ。新たに発見されたのはガス惑星だが、いわゆる「ハビタブルゾーン(生命生存可能領域)」に位置していることから、その周りには液体の水をたたえる衛星が存在しているかもしれない。


(かに座55系の想像図)

かに座55系の想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

(かに座55と太陽系の比較のイラスト)

かに座55(画像中(上))と太陽系(画像中(下))を比較したイラスト。青い線は、惑星の軌道。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

「かに座55」は、かに座の方向41光年の距離にあり、双眼鏡でその姿を見ることができる。この恒星の周りには、過去4つの惑星が発見されていたが、ここに新たな5つ目の惑星が発見されたのだ。今回の発見で、かに座55もっとも多くの惑星の存在が確認された恒星となった。

5つ目の惑星を発見したのは、サンフランシスコ州立大学のDebra Fischer氏とカリフォニア大学バークレー校のGeoff Marcy氏の両研究者、および彼らに協力した研究者からなるチームだ。

チームは、米国カリフォルニアにあるリック天文台のシェーン望遠鏡と米国ハワイにあるケック天文台の10メートル望遠鏡を使い、近傍の恒星2000個を観測した。ドップラー法という、惑星の重力による恒星のふらつきを検出する方法によって、新たな系外惑星を発見した。

かに座55系のもっとも内側には、公転周期が3日以下で海王星サイズの第1惑星がある。そしてその外側には、木星よりやや小さく、公転周期が14.7日の第2惑星がある。さらに、土星サイズで公転周期が44日の第3惑星、今回発見された5つ目の惑星(第4惑星)と続く。第5惑星は、公転周期が14年で質量は木星の4倍ほどだ。

発見された5つ目の惑星(第4惑星)は、質量が地球の約45倍で、組成や外観は土星に似ている。公転周期は260日で、恒星から約1億1670万キロメートルの距離に位置している。この距離に岩石惑星があれば、太陽から約1億5000万キロメートルの距離にある地球と同様、その表面には水が液体の状態で存在できるだろう。

残念ながら、5つ目の惑星はガス惑星だ。しかし、太陽系のすべてのガス惑星に大きな衛星が存在しているように、この惑星の衛星に液体の水が存在している可能性があるわけだ。カリフォニア大学バークレー校のMarcy氏は「5つの系外惑星の発見は、小さな一歩に過ぎません。次なる目標は地球のような惑星探しです」と話している。


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