へびつかい座に新星が出現
【2008年5月28日 VSOLJニュース(196)】
福岡県の西山浩一さんと佐賀県の椛島冨士夫さんのお二人のグループと、静岡県の西村栄男さん、そして愛知県の長谷田勝美さんが、へびつかい座に新星を発見された。西山さんと椛島さんは、先月2週連続で銀河系内の新星を発見されている。
VSOLJニュースより
へびつかい座は、夏の天の川が通っており、新星が多く出現する星座のひとつです。そのへびつかい座に、新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのおふたりのグループ、静岡県掛川市の西村栄男さん、そして愛知県豊橋市の長谷田勝美さん(報告順)です。西山さん椛島さんは、先月も銀河系内の新星を2つ発見しており(VSOLJニュース 193, 194)、精力的に活躍されています。
新星らしき天体は、5月25日の観測で発見されました。天体の位置は、以下のとおりです(西山さん、椛島さんによる測定)。
赤経 17時39分50.93秒 赤緯 -23度50分00.9秒 (2000年分点) 新星周辺の星図
23秒角ほど南西にある12等星とは別の星で、18等ほどの星と位置がかなりよく一致します。この18等の星が増光したとすると、数日間で8等級以上(1000倍強)の増光で、古典的な新星である可能性が高いものと思われます。
この位置には昔の画像では、20等より明るい天体は見当たりません。また、20日には12.4等より明るい星はありませんでした(西山・椛島さん)。それが、25日には10.2等ほどで発見されたのです。増光から5日以内の天体であろうと推定されます。
この天体は20等以下から10等へ、1万倍ほど以上明るくなったことになり、古典新星であろうと考えられました。さらに、26日夜に岡山県井原市の美星天文台、および倉敷市の藤井貢さんが撮影したスペクトルでは、水素の線が爆発天体特有の形を示しており、古典新星であることがはっきりしました(vsolj 8980, 8981)。かなり星間吸収を受けているらしく赤く見えますが、おそらく発見時は極大よりも前で、今後明るくなる可能性もあり、推移が楽しみです。
へびつかい座新星の位置
この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。