フェニックスが撮影、火星を赤く染める粒子の拡大画像

【2008年8月15日 JPL

NASAは、火星探査機フェニックスがとらえた火星の粒子の拡大画像を公開した。地球以外の惑星の微粒子がこれほど高い倍率でとらえられたのは初めてのことだ。


(火星の粒子の画像(拡大))

火星の粒子の画像(拡大)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/University of Neuchatel/Imperial College London)

火星で水を検出したばかりのNASAの火星探査機フェニックスから、新たな画像が届いた。それは、微細な粒子の拡大画像である。

フェニックスにとりつけられている原子間力顕微鏡がとらえた粒子の大きさは、直径1μm(マイクロメートル=100万分の1m)。この顕微鏡を使うと、0.1μmサイズで形を調べることができる。同顕微鏡によるスキャニングから、丸みのある形であることも明らかとなった。

フェニックスには、土壌の分析を行うMECAと呼ばれる装置が装備されているが、ここに光学顕微鏡や原子間力顕微鏡も取り付けられている。粒子は、7月初めにロボットアームによって採取された土壌の一部で、光学顕微鏡の基板の上にとらえられた粒子のうちの1つを原子力顕微鏡が拡大して撮影することに成功したのである。

画像に見られる4つの青い部分は、顕微鏡のシリコン基板につくられた微小なくぼみ。その深さはたったの5μmしかない。公開された画像は、基板の凹凸を反映するように加工されたもので、粒子は一番左のくぼみにとらえられている。

フェニックスの科学チームのメンバーであるインペリアル・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)のTom Pike氏は、「地球で使用されている顕微鏡の中でも、もっとも高い解像度が必要とされますから、このように微細な粒子を画像におさめることは、大きな挑戦でした」と語っている。

撮影された粒子は、火星の赤い土を形成し、火星の空をピンク色に染めているちりである。火星の大気に含まれるガスと土壌中で起きてきた変化とを結びつける媒体であり、火星の環境を理解する上で重要な研究対象である。フェニックスの科学チームでは、拡大撮影の成功を受けて、現在粒子の画像ギャラリーの作成を進めている。