オパールの輝きは火星の水が長持ちした証拠
【2008年11月6日 NASA】
NASAの火星探査機マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)が、オパールに近い鉱物を検出した。この鉱物は、原始火星に存在した水が、従来の予想よりはるかに長い間消えずに残っていたことを示唆する。
MROには光を500以上の波長に分けて測定できる分光撮像器CRISMが搭載されていて、火星の地表で反射される太陽光を観測することで、そこに存在する鉱物を特定できる。
今回CRISMが見つけたのは「蛋白石質シリカ」と呼ばれる種類の鉱物だ。蛋白石(たんぱくせき)とはオパールの和名だが、蛋白石質シリカも、その一種であるオパールも、成分中に水を含む。
これまでに火星では、蛋白石質シリカ以外に水を含む鉱物が2種類見つかっていた。「フィロ珪酸塩」は、約35億年前にマグマが冷えて固まった岩石が長い間水と触れてできたらしい。「水和硫酸塩」はさまざまな物質が溶け込んだ水が蒸発することで形成されたが、それは約30億年前のことだと言われている。
一方、蛋白石質シリカを生み出すメカニズムは、火山活動や隕石衝突で作られた鉱物に水が作用するというものである。このような反応は、約20億年前と比較的新しい時代まで起きていたと考えることができる。つまり、火星の水は従来の説よりも10億年間長持ちしていた可能性があるのだ。
ジェット推進研究所(JPL)のRalph Milliken氏は、蛋白石質シリカの分布も決して局所的なものではなく、火星最大の峡谷であるマリネリス峡谷のまわりなど広範囲にわたっていることを強調する。「重要なのは、水が火星に長い間存在すればするほど、生命が存在し得た時間も長かったことになる点です。火星が生命を維持できる惑星であるか知りたいなら、蛋白石質シリカが見えている場所を探査すると良いでしょう」