土星のG環に小さな衛星を発見
【2009年3月11日 NASA】
NASAの土星探査機カッシーニによる観測で、土星の環に小さな衛星が潜んでいるのが見つかった。環を構成する物質の供給源と考えられている。土星の衛星は不確かなものも含めて64個目。
土星の環は多重構造になっていて、内側から順番にD、C、B、A、F、G、Eと呼ばれている。外側にあるG環は物質がまばらで淡いが、一番内側は太さ250km、長さ15万km(環周囲の6分の1)の円弧に沿って物質が集まり、明るくなっている。弧状環と呼ばれるこの構造は、カッシーニが2004年以降撮影した一連の画像から見つかった。
弧状環の材料は、すぐ近くに存在する未知の衛星から供給されているという可能性が示されていたが、2008年8月15日にカッシーニが撮影した画像から新衛星が見つかった。撮影された画像から衛星の大きさを直接測ることはできないが、ほかの衛星と明るさを比較した結果、直径約500mと推定されている。
国際天文学連合は衛星の発見を公式に発表し、「S/2008 S1」という仮符号が与えられた。これで土星の衛星数は61個、不確かなものも含めて64個となる。
カッシーニ画像チームで米・コーネル大学のMatthew Hedman氏は「カッシーニの観測が始まる前、複数ある土星の環のうちG環だけは、環の材料を供給しうる関係の深い衛星が見あたらない特異な存在でした。今回見つかった衛星と、カッシーニが集めたこれまでのデータをあわせれば、G環の謎を解明できるでしょう」と話している。