国内では6年ぶり、板垣さんが新彗星を発見!
【2009年3月16日 IAUC】
山形県のベテラン新天体捜索者である板垣公一さんが、3月14日夕方(日本時間、以下同様)くじら座に新彗星を発見された。日本国内における新彗星の発見は、2002年12月に発見された工藤・藤川彗星(C/2002 X5)以来、6年ぶりである。
山形県山形市の板垣公一さんは、栃木県高根沢町に設置した口径21cmF3の反射望遠鏡で、3月14日に撮影したCCD画像から、くじら座に約70秒角のコマを持つ12等級の新彗星を発見した。
捜索に使用されたのは、北海道札幌市の金田宏さんが開発した移動天体検出用のソフトウェアである。板垣さんと金田さんは、お二人による共同観測で、2008年9月に111年ぶりに出現したジャコビニ彗星(D/1896 R2)を再発見するという快挙を成し、大きな話題となった。
発見後、板垣さんは、口径30cmF7.8の反射望遠鏡で、彗星を確認した。続いて、兵庫県洲本市の中野主一さん(東亜天文学会計算課)は、3月14.424日に撮影された画像から、新彗星は11.9等、拡散していて、南に伸びた尾があるかもしれないと報告した。
その後彗星は、3月15日夕方に埼玉県上尾市の門田健一さん、滋賀県守山市の井狩康一さん、島根県松江市の安部裕史さんによって確認観測された。
門田さんは、彗星は10.8等の明るさで、中央に強い集光がある約3.8分角のコマが見られ、尾はなかったと報告している。
板垣彗星はおひつじ座を北上するように移動しており、宵の西の空に10等台で見えている。今後、やや増光するとみられるが、少しずつ地平高度を下げていくので、3月いっぱいくらいが観測に適しているだろう。星図は以下を参考のこと。
板垣彗星の位置(ステラナビゲータ Ver.8で作成)
板垣彗星の位置を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示して確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。
板垣彗星(C/2009 E1)の暫定軌道要素
近日点通過 | 2009年4月7.385日 |
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近日点距離 | 0.60809AU |
離心率 | 1.0 |
近日点引数 | 47.130度(J2000.0) |
昇交点黄経 | 105.780度(J2000.0) |
軌道傾斜角 | 128.398度(J2000.0) |