ペルーで活躍の天文学者・石塚睦さんが瑞宝小綬章を受章

【2009年5月28日 国立天文台 アストロ・トピックス(475)

ペルー在住の日本人天文学者・石塚睦さんが、2009年春の叙勲で、瑞宝小綬章を受章された。石塚さんは、ペルーの国立プラネタリウムやワンカイヨ宇宙電波観測所、イカ教育天文台の設立など数々の計画を通して、半世紀以上にわたりペルーにおける天文学の普及啓発活動を進めてきた。


アストロ・トピックスより

アストロ・トピックス(390)等でも紹介したことのあるペルー在住の日本人天文学者・石塚睦(いしつかむつみ)さんが、2009年春の叙勲で、瑞宝小綬章(ずいほうしょうじゅしょう)を受章されました。来る6月5日、現地の大使館において授与式が行われ、在ペルー日本大使より勲章が授与される予定です。

石塚さんは、京都大学大学院在学中の1957年、太陽コロナ観測所を建設する命を受け、ペルーに渡りました。22年に及ぶ苦労の末、主目的であったコスモス太陽コロナ観測所を完成させ、太陽コロナの観測に成功したわずか数週間後、テロ組織によって観測所が爆破されるという悲劇に見舞われました。テロ組織に命を狙われ、潜伏生活を送るなどの困難を極めながらも、石塚さんはペルーにとどまり、同国の天文学を進めるために、同国立プラネタリウム、同国立イカ大学の太陽観測所、ワンカイヨ宇宙電波観測所、イカ教育天文台の設立など、次世代の教育・育成に必要な数々の計画を進めてきました。国立天文台も、新しい電波望遠鏡の設置などに対し、協力してきました。

現在、石塚さんはペルー地球物理研究所の科学顧問として、ペルーに天文学を根付かせるため、電波天文学者である次男のホセ・イシツカさんとともに、生涯をかけて天文学の普及啓発に努めています。

半世紀以上にわたり、遠い異国で天文学者として社会貢献された石塚さんの功績が、叙勲の栄誉として認められたことは、大きな喜びであり、誇りでもあります。心からお祝いを申し上げます。

なお、これまでの石塚さんの活動を紹介したNHKの番組「地球アゴラ」が再放送されることになりました。ぜひご覧ください。

<再放送予定>

  • 6月4日(3日深夜)NHK総合テレビ(地上波)深夜2時30分〜3時19分
  • 6月7日 衛星第一放送(BS1)15時10分〜16時00分

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