「ユリシーズ」、18年半のミッション終了
【2009年6月29日 JPL】
1990年に打ち上げられ、太陽を南極や北極の方向から観測してきた太陽極軌道探査機「ユリシーズ」が、6月30日にミッションを終了することとなった。
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)とNASAの共同ミッションだった太陽極軌道探査機「ユリシーズ」は、6月30日に通信機器の電源が切断され、18年以上続いた運用が終わる。
現在ユリシーズは地球から遠ざかる軌道にあり、通信できるデータの量も限られている。放射性同位元素の崩壊を利用した電力供給も徐々に低下していて、昨年から運用終了が検討されていた。
ユリシーズは、1990年10月6日に打ち上げられたスペースシャトル「ディスカバリー号」から放出され、1992年2月の木星スイングバイを経て、太陽のまわりを6.2年で1周する人工惑星となった。ほかの惑星と比べて垂直に近い軌道なので、太陽を北極や南極の方向から観測できる。
1994年9月13日に太陽の南緯80.2度方向を通過、1995年6月から9月にかけて北極側を飛行。以降、2000年から2001年、および2006年から2007年にかけて太陽の極地域を観測し、磁場やフレア、黒点、太陽風の活動、そのほか宇宙線と太陽風の相互作用などといったデータを集めた。
4年間の予定だった運用が大幅に伸びたおかげで、11年周期で活動が変動する太陽の姿をとらえることもできた。極大期の2000年から2001年にかけては、磁極の南北が入れ替わるのをとらえる一方、極小期の2007年には、太陽風の強さが観測史上最弱の水準にあることを明らかにしている。