緑色の小さな銀河「グリーンピース」
【2009年7月30日 Yale University】
ボランティア参加型の銀河分類プロジェクト「The Galaxy Zoo」で、緑色をした小さな銀河が複数発見された。「グリーンピース」という愛称がつけられたこれらの銀河では、天の川銀河の10倍の速度で星形成が進んでおり、初期宇宙における星形成を知る手がかりとなりそうだ。
「The Galaxy Zoo」プロジェクト(解説参照)の画像データバンクには、100万もの銀河の姿が収められている。その中から、緑色をした小さな銀河が250個発見された。
見つかった銀河は、地球から15億から50億光年ほどの距離に位置しており、コンパクトで、星形成が活発に進んでいる。天の川銀河と比較すると、大きさは10分の1、質量は100分の1、しかし星形成の速度は10倍である。
研究チームの一人で、米・エール大学の大学院生Carolin Cardamone氏は「これまでに私たちが発見した銀河の中で、もっとも活発な星形成が進む部類に入ります」と話している。
また、ボランティアの協力のもと複数の「グリーンピース」の発見に至ったことについて、同氏は「たった一人の人間では、今回の発見は成しえなかったでしょう。たとえば、もし1万枚の画像を調べたとしても、そこから発見されるグリーンピースは数個にとどまってしまい、一風変わった銀河の一種であると認識するには至らなかったでしょう」と述べている。
The Galaxy Zooの創設者の一人で、エール大学の研究者であるKevin Schawinski氏は、「これらの銀河は、ものすごい速度で成長しています。現在の宇宙にこのような活発な星形成を行う銀河は見られませんが、初期の宇宙には、普通に存在していたのでしょう。グリーンピースを理解することで、初期宇宙における星形成と、銀河の進化について知ることができるかもしれません」と話している。
The Galaxy Zoo
膨大な数の銀河の画像を分類する目的で2007年に開始されたプロジェクト。今までに23万人のボランティアが参加し、インターネット上に公開されている銀河の画像のうち、すでに100万枚の画像の分類が行われ、研究に役立てられている。