数億年のダイエット?宇宙初期のブラックホール
【2009年8月13日 SLAC】
宇宙で最初に誕生したブラックホールは、周囲のガスを急速に取り込んで一気に超巨大ブラックホールに成長したと言われている。この予想に反して、初期ブラックホールはダイエットでもしているかのような状態だったとするシミュレーション結果が発表された。
米・国立加速器研究所(SLAC)のスーパーコンピュータを使って、宇宙で最初に誕生したブラックホールのシミュレーションが行われた。
宇宙で最初に生まれた星は高温で、質量は太陽の100倍ほどもあった。大質量星は、燃料を早く使い果たしてしまうので短命だ。短い生涯の最期には、超新星爆発とともにブラックホールが残された。
従来は、こうして誕生したブラックホールが周囲のガスを吸収して、質量が太陽の数億倍もある超巨大ブラックホールに成長したと考えられていた。ところがシミュレーションによれば、ブラックホールになる前の星が放つ強烈な光と恒星風で、周囲のガスは吹き飛ばされてしまう。取り込む物質が残ってないので、ブラックホールの成長率は1億年間で1パーセント以下だった。
その上、わずかばかりの物質を吸い込む際に放たれるX線が周囲のガスを加熱し、ブラックホールからますます遠ざけてしまう。周囲数百光年ではガスが熱すぎて収縮できないので、新しい恒星も誕生することができない。まるで自ら孤独なダイエットに取り組んでいるかのような状態は、数千万から数億年間も続いたという。
しかし、宇宙誕生から10億年もしないうちに超巨大ブラックホールが存在していたことは観測から明らかだ。研究チームは、今回のシミュレーションが示すのは氷山の一角に過ぎず、今後はより現実の初期宇宙に迫る研究をしたいとしている。