マックノート彗星(C/2009 R1)が増光中、6月には肉眼等級に
【2010年5月14日 アストロアーツ】
2009年9月に発見されたマックノート彗星(C/2009 R1)が4月末から見え始め、予想を上回る増光を見せている。6月には肉眼等級になると期待されているので、ぜひ注目のマックノート彗星を観測してみよう。
マックノート彗星(C/2009 R1)は、オーストラリアのRobert McNaught氏によって2009年9月9日に17.3等で発見された。その後しばらく観測できなかったが、4月下旬の明け方の空に現れて、現在は9等ほどと当初の予測よりかなり明るくなっている。
今後、地球と太陽に近づくにつれて順調に増光が続けば、5月下旬には7等前後まで明るくなりそうだ。さらに6月上旬に6等台前半〜5等に達して肉眼等級になり、下旬には明け方に北東の空で約3等まで明るくなると予想されている。
- 5月下旬から6月上旬は地平高度は高いものの、月明かりの影響を受けるため見づらそうだ(5月28日が満月、6月5日が下弦)。6月1日前後に、アンドロメダ座大銀河とさんかく座の銀河M33の間を通り過ぎていく。また、8〜9日にはエッジオン銀河として有名なNGC 891に大接近する
- 6月中旬には4〜3等台まで明るくなると予想されている。とくに15日ごろ、星がたくさん集まってにぎやかな2等星ミルファク(ペルセウス座α星)のあたりを通り過ぎていくのが見ものだ。10日の、散開星団M34との大接近も見逃せない
- 6月下旬のハイライトは22日ごろ、カペラのすぐそばを通っていく。明るさは3等台前半の予想だが、地平高度が低くなっているので、観測場所をよく検討しておこう。このころは1年でもっとも日出が早く、東京では2時40分ごろには薄明が始まるので、なるべく早いうちに観測したい
梅雨の時期でもあり、なかなかチャンスに恵まれないかもしれないが、少し早起きして、マックノート彗星を探してみよう。星図や位置推算表は、以下を参照のこと。
《マックノート彗星(C/2009 R1)の軌道要素》
計算:村岡健治氏(※角度に関する要素は2000.0年分点)
近日点通過(T) | 2010年7月2.67835日TT |
---|---|
近日点距離(q) | 0.4050267AU |
離心率(e) | 1.0003429 |
近日点引数(ω) | 130.70093゜ |
昇交点黄経(Ω) | 322.62193゜ |
軌道傾斜角(i) | 77.03210゜ |
元期(Epoch) | 2010年6月13.0日TT |
《ステラナビゲータで彗星の見え方をシミュレーション》
マックノート彗星(C/2009 R1)の位置を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。
また、マックノート彗星の位置を手軽に星図に表示するスクリプトを「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードし、実行してください。
《iStellarで彗星の位置を確認》
iPhone/iPod touch用天体アプリ「iStellar」でも、マックノート彗星など10等より明るい彗星を表示することができます。ご利用の方は「データ更新」を行ってください。電子コンパス機能を搭載したiPhone 3GSでは、リストからマックノート彗星を選ぶと、星図に矢印が表示され彗星のある方向までナビゲーションしてくれます。