南極の昭和基地の全天カメラがとらえたオーロラ
【2010年8月12日 宇宙天気ニュース(1)/(2)/(3)/NASA】
8月1日にやや中規模の太陽フレアが地球側で発生し、「コロナ質量放出(CME)」が観測された。また、7日に(地球側からそれていたが)より大きな規模のフレアが発生し、CMEが観測された。それらCMEが引き起こした磁気嵐で発生したオーロラを、南極の昭和基地の全天カメラがとらえた。
8月4日付けのニュース(参照:ニュース「太陽表面の地球側でコロナ質量放出、北米や欧州などで低緯度オーロラが出現か」)でお伝えしたとおり、8月1日(世界時、以下同様)に地球側にあたる太陽の表面でフレアが発生、続いてコロナから大量の物質が噴き出す「コロナ質量放出(CME)」が起こった影響で、北米やヨーロッパでは、低緯度地方でもオーロラが見られるかもしれないと注目されていた。結果は、磁気嵐が発生しオーロラが活発な活動を見せて、8月3日に南極の昭和基地の全天カメラがそのようすをとらえた(画像1枚目)。
その後、太陽風の乱れは弱まりはじめていたのだが、8月7日18時にMクラス(正確な規模はM1.0、8月1日に発生したフレアは、それより弱いCクラス※)の太陽フレアが発生。NASAの太陽観測衛星STEREOによって、コロナ質量放出(CME)も観測された。
8月1日に発生したCMEとは異なり、地球から見ると斜めの方向で発生したため、あまり大きな影響はなかったが、放出された一部のプラズマが9日から10日にかけて地球の磁気圏に到達し、磁気嵐が引き起こされて、再び昭和基地の全天カメラがオーロラをとらえた(画像2枚目)。太陽風の速度がやや高速になり、磁場の向きが変わったため、このようなオーロラが発生したのだ。ただし、空が明るくなってしまっため、活動が最大のころのようすは残念ながら撮影されなかった。
現在の太陽活動は、それほど活発ではないものの、新しい黒点が現れており、今後も小規模のフレアが発生するかもしれないと予測されている。
※フレアの規模は、ピーク時のX線強度によって、弱い方からA、B、C、M、Xの5つのクラスに分けられており、各クラスの大きさは、1桁ずつ異なる(例えば、XクラスはMクラスの10倍の強度である)。