小さな赤色矮星で起こる激しいフレア
【2011年1月13日 HubbleSite】
ハッブル宇宙望遠鏡の大量のデータから、小さな赤色矮星で発生する激しいフレアの様子が統計的に明らかになった。
米・宇宙望遠鏡科学研究所のRachel Osten氏らによる調査で、小さな赤色矮星で激しいフレアが発生している様子がわかった。ハッブル望遠鏡が系外惑星探索のために1週間かけて集めた21万5000個の赤色矮星のデータを調べたところ、1つの天体で複数発生しているものも含めて、フレアによる増光が100箇所で見られたという。フレアとは、強力な磁場を持つ天体の大気層で磁力線が輪ゴムのようにはじけた時に起こる、プラズマの爆発現象だ。
赤色矮星は、質量が小さく低温の赤い主系列星で、高温ガスの深い対流により強い磁場ができ、比較的若いものはフレアが発生しやすいと考えられているが、今回の観測で、生まれてから数十億年経ったもっと古いものでもフレアが発生していることがうかがえる。
また、変光星におけるフレアの発生割合は、それ以外のものの1000倍も高かった。太陽の黒点のような強い磁場にともなう暗い領域が星の自転にともなって見え隠れすることで、天体の光度が変化すると考えればうなずける。太陽の黒点は表面全体のほんのわずかの領域だが、赤色矮星では、暗い領域が表面の半分を覆うような広い範囲のものもあるという。