鮮明にとらえられた電波銀河「ケンタウルス座A」の中心ジェット
【2011年5月23日 NASA】
1200万光年かなたの「ケンタウルス座A」は、電波で観測すると満月の20倍もの大きさと明るさで輝く巨大な電波銀河として知られている。この銀河の中心に存在する巨大ブラックホール近辺から噴き出るジェットをこれまでになく鮮明にとらえた画像が公開された。
国際研究チーム「TANAMI(南半球ミリ秒角干渉計による活動銀河核追跡)プロジェクト」では、オーストラリア、チリなど南半球各国の電波望遠鏡と最先端の画像処理能力を駆使し、「ケンタウルス座A」のジェットを、これまででもっとも詳細にとらえた(画像1枚目)。
ケンタウルス座A(NGC 5128)は太陽の5500万倍もの大質量ブラックホールを中心に宿す銀河で、可視光で見える銀河の形状からさらに両側に「電波ローブ」と呼ばれる巨大な電波の羽がひろがっている(画像2枚目)。
この電波ローブは、中心ブラックホールの近辺からジェット流となって噴き出す物質によるものだ。ジェットは、根元付近では光速の3分の1というとてつもない勢いを持っていると見積もられている。
このようなジェットは、銀河中心のブラックホールに物質が吸い込まれる時の摩擦エネルギーが放出されたものと考えられている。ジェットは周囲のガスとぶつかり、時にはそれが銀河の星生成の勢いを変化させる。銀河の形成と進化に大きな影響を及ぼしていることはわかっていても、その詳細は未だ明らかになっていないことが多い。
ケンタウルス座Aは、このようなジェットを持つ活動銀河としては比較的近くにあり、詳細な観測に適している。今回のような研究によりさらに詳細を観測することで、その形成過程が明らかになっていくことが期待される。