超新星爆発1987A、超新星残骸へと移行中
【2011年6月17日 CfA】
超新星爆発による星の残骸の輝きが、再び明るくなり始めているようすが発見された。超新星爆発から超新星残骸へと移行する過程を見ていると考えられる。
今回観測されたのは、1987年2月に大マゼラン雲で発生した超新星1987Aの残骸だ。超新星1987Aは小柴昌俊(東大名誉教授)がノーベル物理学賞を受賞するきっかけとなった、ニュートリノ検出に成功した天体である。超新星爆発する前の天体は、少しずつその質量を宇宙空間に放出しており、超新星1987Aの場合は約1光年にわたってその残骸が広がっていることがこれまでの観測でわかっていた。
残骸は、最初のうちは超新星爆発で作られた大量の放射性核種が出す光に照らされて明るく輝く。時間が経つと、光の元である放射性核種のほとんどは安定した核種へと変化してしまうので、暗くなってしまう。しかし、1987Aは最近になって再び明るくなり始めていることがわかった。
これは明かりを生み出す元が変化したことを表している。通常、超新星残骸は超新星爆発による衝撃波と周りを取り巻く残骸が衝突することで主にX線の波長域で輝いていると考えられており、1987AもX線で明るくなっている様子が確認されている。
大マゼラン雲の1987Aは最近400年に発生した超新星爆発の中では地球から最も近いものであり、このような超新星爆発から超新星残骸への移行を調べる上では格好のターゲットとなっている。超新星爆発は宇宙で発生するイベントの中では珍しく、人間の人生ほどの時間で大きな変化を見せると考えられるので、1987Aもまだ誰も見たことのない超新星爆発後の現象を見せてくれるだろうと期待されている。