ガンマ線天体「ブレーザー」探しに赤外線データが活躍

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【2012年4月13日 NASA

大質量ブラックホールが光速に近い速さのジェットを噴き出す天体「ブレーザー」。高エネルギーのガンマ線を放射するこの種の天体を、赤外線データから探し出して特定につなげる研究が行われている。


ブレーザーのイメージ図

ブレーザーのイメージ図。大質量ブラックホールから高速ジェットが地球に向かって噴き出している。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

「WISE」の赤外線画像にとらえられたブレーザー

「WISE」の赤外線画像にとらえられたブレーザー(矢印)。200個以上のガンマ線源が、WISEのデータによりブレーザーと特定された。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Kavli)

「ブレーザー」とは、巨大銀河の中心にある大質量ブラックホールが物質を活発に取り込む際にそのエネルギーが解放され、光速に近いジェットが地球に向かって噴き出しているという、全宇宙でも有数の高エネルギー天体だ。ブレーザーは、波長が短くエネルギーの高いガンマ線を発しているため、多くのガンマ線源が「ブレーザーと思われる天体」として観測される。

米カリフォルニア州カブリ素粒子天体物理学・宇宙論研究所のFrancesco Massaro氏らは、天文衛星「WISE」の赤外線サーベイ画像から、これまでにガンマ線源が見つかっている位置を探った。通常は低温(低エネルギー)の天体を探す手がかりとされる赤外線でブレーザーのような高エネルギー天体を探すというのは異色のように思えるが、ブレーザーのジェット中の粒子が加速されることで赤外線を放射するので、それを探してみたというわけだ。結果、300個あまりのガンマ線源のうち200個以上がほぼブレーザーに間違いないということがわかった。

ガンマ線天体の特定に赤外線観測が役立つというのは、大きな進歩だ。今回は一部の分析だったが、今後全天で数千個のブレーザーが特定されることが期待される。

WISEの担当者Peter Eisenhardt氏もこの意外な活用方法について、「衛星を開発したときは、ブレーザーの探索に利用できるなんて思いもよりませんでした。でもそこが全天サーベイの醍醐味なんですね。そのデータが、宇宙のあらゆる出来事を探る手がかりになるんです」とコメントしている。

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