水循環変動観測衛星「しずく」を打ち上げ

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【2012年5月23日 JAXA (1)(2)

18日未明、日本の水循環変動観測衛星「しずく」が種子島宇宙センターからH-IIAロケット21号機で打ち上げられた。


太陽電池パネル

「しずく」のカメラが撮像した展開後の太陽電池パネル。クリックで拡大(提供:JAXA)

AMSR2アンテナ

「しずく」搭載のAMSR2のアンテナ展開画像。クリックで拡大(提供:JAXA)

5月18日午前1時39分(日本時間)種子島宇宙センターから、第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)と韓国多目的実用衛星3号機「KOMPSAT-3」、小型副衛星(SDS-4、鳳龍弐号)を搭載したH-IIAロケット21号機(H-IIA・F21)が打ち上げられた。

ロケットは正常に飛行し、打ち上げ後約16分3秒にKOMPSAT-3を、約22分59秒に「しずく」を分離した。所定の軌道に乗った「しずく」は、太陽電池パドルや高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)のアンテナを正常に展開し、その様子を画像で送信してきた。

今回打ち上げられた「しずく」は、GCOM-Wシリーズの第1期の人工衛星だ。

「地球環境変動観測ミッション(GCOM)」は、地球規模での気候変動、水循環メカニズムを解明するため、全球規模で長期間の観測を継続して行えるシステムを構築し、そのデータを気候変動の研究や気象予測、漁業などに利用して有効性を実証することを目的としている。GCOMには水循環変動観測衛星(GCOM-W)と気候変動観測衛星(GCOM-C)という2つのシリーズがあり、マイクロ波放射計を搭載するGCOM-Wは降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、陸域の水分量、積雪深度などを観測する。

「しずく」に搭載されたAMSR2は、地表や海面、大気などから自然に放射されるマイクロ波とよばれる電磁波を観測するセンサーだ。自然に放射されるマイクロ波の強度は、物の性質や含まれる水分量、表面の状態や温度などで決まり、周波数ごとに異なるが、非常に微弱である。AMSR2はこのような微弱なマイクロ波をで受信し、そのマイクロ波の強さを非常に高い精度で測定することができる。たとえば、AMSR2で海面から放射されるマイクロ波の強度を測定することにより、0.5度の精度で海面水温を知ることもできるという。