来月1日午前9時、3年半ぶりのうるう秒挿入
【2012年6月29日 総務省/国立天文台/情報通信研究機構】
7月1日は“長い一日”になりそうだ。午前9時0分の前に1秒、「59分60秒」が「うるう秒」として挿入される。正確な時のステップを徐々に遅くなる地球の自転に合わせるための、重要な“足ぶみ”だ。
うるう秒とは?
人間の生活リズムは日の出・日の入りと深く関わっており、日常使う時刻は、その便宜を図るものであることが大前提だ。間違っても「昼ごはんの時間なのにまだ夜」などということがあってはならない。こうした地球の自転・公転などの天文運行に基づいた時刻系を「世界時(UT)」と呼ぶ。
だが地球の自転速度は厳密には一定ではない。一般に広く使われている「協定世界時(UTC)」では、時間が進む速度の基準としてセシウム原子の振動を用い、この原子時計に基づいて1秒の長さが正確に刻まれている。
地球の自転周期は潮汐摩擦で少しずつ遅くなっているため、天文運行に基づく「世界時」は、正確に進み続ける「協定世界時」から遅れをとってしまう。差が1秒以上に広がりそうになったら、「協定世界時」がその場で1歩足ぶみして世界時に合わせる、これが「うるう秒」である。うるう秒を実施しなければ、いずれは前述のような昼夜の逆転が起こり、「星を見ながらのランチ」が可能になってしまう。
現に、1958年1月1日0時以来うるう秒を入れず、つまり天文運行を無視して進み続ける「国際原子時」では、協定世界時との差は34秒にまで広がっている。
うるう秒挿入の決定と実施
「うるう秒」の調整は、地球の自転の観測を行う国際機関「国際地球回転・基準系事業(IERS)」(本部パリ)が決定する。それを受け、日本の総務省および情報通信研究機構(NICT)が日本標準時へのうるう秒の挿入を実施する。毎年6月か12月の終わりに実施されるため、9時間の時差がある日本では7月1日か1月1日の朝となる。うるう秒の実施は、1972年1月1日から数えて今回が25回目となる。
当日は情報通信研究機構の本部(東京都小金井市)で説明会が開催され、一般の時計では見られない「8:59:60」の時刻表示を見ることもできる。