都会の空にも星は巡る 銀座で比較明星景写真展が開催中

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【2012年7月13日 星ナビ編集部】

東京・銀座で、都会の夜景の上に広がる星を写した写真展「都会の星」が29日まで開催中だ。明るい地上風景と星空を組み合わせる「比較明星景写真」の第一人者・東山正宜さんの作品と、ライターの石井ゆかりさんのナビゲートが話題を呼んでいる。


都会の星

「都会の星」は、画像処理を駆使して天体画像を創る東山正宜さん(写真)と、特に女性の間で絶大な人気を博している石井ゆかりさんの異色のコラボレーション写真展だ。クリックで拡大(撮影:星ナビ編集部。以下スナップ同)

写真展会場

撮影データは場所と日付のみ。その分、添えられたメッセージが際立つ。クリックで拡大。

東山さんと「明石海峡大橋」のパネル

東山さんは、2011年から大阪に赴任。関西圏での都市部星景写真を撮り始めた。「明石海峡大橋」はその中でも気に入っている1枚とのことだ。クリックで拡大。

「星空」として多くの人が思い描くのは、山や砂漠など“非日常”的な風景の上に輝く満天の星だろう。都市圏の夜空は明るくて、天の川はもちろん、星雲星団、銀河、微光星、どれも地上の光に沈んで輝きを潜めている。天文ファンならば、何かにつけて夜空を見上げて月や惑星、そして明るい恒星たちを探しだすのが習性だが、多くの人は都会に星があることを知らない。

東京・銀座という光害のど真ん中、リコーフォトギャラリー「RING CUBE」で都会の夜景の上に広がる星を写した写真展「都会の星」が開催されている。撮影したのは、朝日新聞記者の東山正宜さん。デジタルカメラを三脚に固定し、数秒から数十秒の露光で連続撮影した画像を「比較明」機能を使って合成し、光害の激しい都会の夜空に天体の軌跡を描き出す「比較明星景」の手法を広めたアマチュア天体写真家でもある。

「RING CUBE」でサポートを行うボランティアグループ“doughnuts”による企画で、「ふつうの天体写真展ではなく、銀座ならでは、そしてdoughnutsならではのテーマに挑戦したい」ということから、(おそらく)日本初の「比較明星景だけの写真展」が立ち上がった。さらにdoughnutsメンバーから、ライターの石井ゆかりさんにナビゲーターとして夜空を案内してもらう案が出され、展示される作品すべてに、見る人と星空をつなぐためのキャプションがメッセージとして添えられることになった。

銀座という土地柄もあり客層は20〜40代の女性が中心で、「すごく神秘的!」「こんなに星って見えてるんだね」といった声があちこちから聞かれた。大阪城大手門や名古屋駅ツインタワー、東京銀座の歌舞伎座、六本木のシティービューといったふだんから目にしている都会の風景の上をめぐる星たちの輝きに、よりいっそう興味がかきたてられたようす。

リコーの多機能コンパクトデジタルカメラ「GR DIGITAL IV」には、撮影をしながら並行してカメラ内で「比較明合成」を自動で行える「インターバル合成機能」が搭載されていて、写真展ではその機能を使ったものも展示されている。7月7日に会場で行われた、東山さんと「インターバル合成機能」の仕掛け人である山本勝也さん(株式会社リコーのエンジニア)のトークショーでは、星景写真の構図やロケハンの方法のほか、星の色の再現や記録形式における特性など比較明合成に関するディープな話題が炸裂し、詰め掛けた参加者たちも大いに楽しんだ。

写真展は7月29日(日)まで開催しているので、比較明星景に挑戦したいと考えている人はもちろん、一味違う「星の写真」を堪能したいという人も出かけてみよう。

RING CUBE doughnuts企画 写真展
「都会の星 〜写真:東山正宜 ナビゲート:石井ゆかり〜」

日時:2012年7月4日(水)〜7月29日(日)
火曜日休館・入場無料
会場:銀座リコーフォトギャラリー RING CUBE(東京都中央区)


「明石海峡大橋」

「明石海峡大橋」
写真:東山正宜 ナビゲート:石井ゆかり

橋の上に、星が降り注いでいるみたいにみえる。 星の世界と数学と音楽を結びつけたのはピタゴラスだが 彼のつま弾いた弦のような吊り橋が 音符や楽譜のように夜空を彩っている。 規則的であり、論理的であることと 詩的であり、神秘的であることとは 古い時代には、もっと親和性が高かったようだ。 星占いも、そんな世界に生まれて その心をそのまま、現代まで保ち続けている。

「梅田スカイビル」

「梅田スカイビル」
写真:東山正宜 ナビゲート:石井ゆかり

大阪の「空中庭園」。 高い高い建物を建てるのは 空に近づきたいからなんだろうか。 バベルの空中庭園は神の怒りを買い、突き崩されて、 罰として、私たちは世界の共通言語を失ったらしい。 子供の頃から私たちは 「お星様をとって」とせがんだりして 星に触れたいと願う。 高い高いビルを建て、そこにのぼり、 空に少しでも近づこうと試みる。