藤川さん、いっかくじゅう座に新星を発見

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【2012年8月21日 VSOLJニュース(291)】

日本時間10日未明、香川県の藤川繁久さんがいっかくじゅう座に新星を発見した。明るさのピークは過ぎており、以前の姿から8.5等ほど増光している可能性がある。


VSOLJニュースより(291)

著者:前原裕之さん(京都大学花山天文台)

いっかくじゅう座の新星

いっかくじゅう座の新星(赤い印)。クリックで広域拡大(撮影:清田誠一郎さん)

暑い夏の季節ですが、明け方には早くもオリオン座など冬の星座が見えるようになってきました。そんな冬の星座のひとつであるいっかくじゅう座の中に、9等台の新星が発見されました。

新星を発見したのは、香川県の藤川繁久(ふじかわしげひさ)さんです。8月9.8048日と9.8061日(世界時、日本時間10日未明)に焦点距離105mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した2枚の画像から、9.4等の新天体を発見しました。また、藤川さんは12日にもこの天体を焦点距離400mmのレンズを使って撮影し、その存在を確認しました。

茨城県の清田誠一郎さんらが13日〜15日にこの天体の追観測を行い、V等級では発見時とほぼ同じ明るさの9.7〜9.8等ほどであることが報告されています。

A. OksanenさんとC. Harlingtenさんの観測によると、この天体の位置は以下の通りです。

  赤経  06時39分38.57秒
  赤緯 +05度53分53.0 秒(2000.0年分点)
  いっかくじゅう座の新星の周辺星図

この天体の分光観測はフランスのC. BuilさんやJ. Edlinさん、岡山理科大学の今村和義さんらによってそれぞれ行われました。この天体のスペクトルには水素のバルマー系列や、中性ヘリウム等の輝線がみられたことから、古典新星であることが判明しました。今村さんは分光観測の結果から、この新星は最も明るい時期を過ぎていることを指摘しました。この新星は、太陽に近くて観測が困難な時期に新星爆発を起こし、極大時にはもっと明るかった可能性があります。

また九州大学の山岡均さんによると、この天体の位置にはUSNOカタログに17.7等の天体があるとのことで、もしこの天体が増光したとすると、少なくとも8.5等ほどの増光を示したことになります。今後の明るさやスペクトルの変化、増光前の天体の正体などが注目されます。

アストロアーツ補足:藤川さんはベテランの天体観測者で、1969年の藤川彗星(C/1969 P1)や2002年の工藤・藤川彗星(C/2002 X5)などご自身の名が付いた彗星を6つ発見(他にも数個の独立発見)しています。


いっかくじゅう座の新星の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後まず「ツール」メニューから「データ更新」を行い、新天体データを取得してください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。

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