小惑星ベスタに謎の溝状地形
【2012年12月10日 NASA】
NASAの探査機「ドーン」がとらえた小惑星ベスタのクレーターに不思議な溝地形が見つかった。どのようにしてできたのか、その詳細について今後議論を呼びそうだ。
今日12月10日に衝を迎える小惑星ベスタ。NASAの探査機「ドーン」が2011年9月からの約1年の間に撮影した観測画像の初期解析が行われているが、その中から、比較的新しいクレーターに刻まれた溝状の地形が研究者達の目を引いている。
溝状地形には2つのタイプが見られる。1つは画像1枚目のフォンテイア(Fonteia)クレーターに見られるような、比較的短く太い直線状のもの。これについては「砂などの乾燥した物質が流れた跡の典型的な見本。同様の地形は月にも見られ、ベスタに存在しても不思議はない」(「ドーン」研究メンバーのJennifer Scullyさん)という。
だが、コーネリア(Cornelia)クレーターに見つかったもう1つのタイプは意外な発見となった。画像2枚目に見られるような曲がりくねった細長い溝状地形は、その多くがクレーター斜面のV字型にへこんだくぼみから始まり、他の溝と合流しながら葉状の堆積地に達している。
こうした地形は、直線状のタイプとは違うプロセスで形成されたはずだ。研究者達はそのヒントを探るため、地球や火星、その他の小天体で撮影された地形と照合を行っている。
「アリゾナ隕石孔など、地球上で見られる同様の地形は液体の水により形成されたものです。火星の地形についてはまだ議論が続いています。ベスタについても、結論を出す前にこの地形を慎重に調べる必要があります」(ドーン主任研究員のChristopher Russellさん)。
ドーンは今年9月にベスタを離れ、現在は次の目標である準惑星ケレスに向かっており、2015年に到着予定である。