米探査の小惑星は不死鳥「ベンヌ」 9歳少年が命名
【2013年5月2日 米国惑星協会/NASA】
2016年に打ち上げ予定のNASAの探査機「オシリス・レックス」が目標とする小惑星が、エジプト神話の不死鳥にちなんで「ベンヌ」と命名された。探査機は2018年にベンヌに到着して観測やサンプル採取を行い、2023年に地球帰還予定となっている。
1999年に発見され「(101955) 1999 RQ36」と仮符号がつけられていた小惑星ベンヌ(Bennu)は、炭素質でかつ揮発性物質が豊富な「B型小惑星」の1つだ。大きさは数百mで公転周期は436.6日。6年ごとに地球に接近し、2182年に衝突する可能性が1800分の1の確率で存在するという。
小惑星の探査やサンプルリターンミッションに適した軌道やサイズ、地表の性質であることからNASAの探査機「オシリス・レックス」のターゲットとなっており、2012年末に行われた18歳未満を対象とした命名コンテストには25以上の国からおよそ8000人の応募があった。
見事採用された「ベンヌ」は米ノースカロライナ州の小学3年生Michael Puzio君が提案したもので、審査を経て国際天文学連合により正式に承認された。
名称の由来となっているのはアオサギを模したエジプト神話の不死鳥で、「飛翔」「輝く」といった意味を持つという。Puzio君は命名理由として、太陽電池パネルとサンプル採取用アームを備えた探査機体が似ていることなどを挙げている。
「多くの選考委員がすぐに『これだ』と思いました。ほかにもよい候補はありましたが、オシリス・レックスのサンプルアームをサギの外見と結びつけたのは巧いですね。また太陽系において生命と破壊の両方をもたらす存在という小惑星の性質にも沿っています」(米国惑星協会のBruce Bettsさん)。