バルジが重い銀河は赤い

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【2014年4月23日 Royal Astronomical Society

バルジと呼ばれる銀河中心部の膨らみ部分の質量と銀河の色とは、比較的単純な関係にあることが、50万個もの銀河の解析から明らかにされた。


分析された銀河の一部

分析された銀河の一部:銀河の星の総質量(下から上へ行くほど大きい)、全体に対するバルジの割合(左から右へ行くほど大きい)。クリックで拡大(提供: A. Bluck)

宇宙には数十億個の銀河が存在し、その銀河1つ1つに数十万から数千億個の星が存在している。銀河の多くは楕円形で、その色は赤く、ほとんどが年老いた星で構成されている。一方、渦巻銀河に存在する平均的な星は、楕円銀河を構成する星よりもはるかに若い傾向にある。

カナダ・ビクトリア大学のAsa Bluckさんたちの研究グループは、スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)のデータを用いて、50万個もの銀河を質量や形、色によって分類した。さらに、パターン認識ソフトウェアを使って個々の銀河の形を詳しく調べ、銀河に存在する赤い星の割合が他の物理量とどのような関係を見せるのか確認した。

その結果、銀河の色とバルジ(中心部の膨らみ)の質量が、比較的単純な関係にあることがわかった。銀河円盤の大きさに関係なく、バルジの質量そのものが銀河全体の色を知る鍵ということだ。バルジの質量が一定以上の場合、銀河は赤く、そこに若い星は存在しないのである。

ところで、ほとんどの銀河の中心には超巨大質量ブラックホールが存在しており、バルジの質量はブラックホールの質量に密接に関係している。そして、ブラックホールの質量が大きいほど、より多くのエネルギーが強力なジェットやX線放射の形で放出され、周囲のガスが吹き飛ばされたり高温になったりして星の形成が妨げられる。

「より大きなバルジはより赤い銀河であるという、比較的単純な今回の結果が示している事柄は重要です。バルジが大きいということはブラックホールも大きく、ブラックホールの活動によって星形成が止まってしまうからです」(Asaさん)。

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