やっぱりもっと遠かったプレアデス星団
【2014年9月1日 カリフォルニア大学サンディエゴ校】
地球上の遠く離れた電波望遠鏡を組み合わせた観測で、「すばる」ことプレアデス星団までの距離が440〜448光年と求められた。疑問が呈されていた位置観測衛星の測定結果を否定するもので、これまででもっとも信頼のおける数値だという。
プレアデス星団(M45)は「すばる」という愛称でもおなじみの、天文ファンに人気の天体だ。9月には夜11時ごろに東の空に昇り、肉眼でも星がぽつぽつと集まったようすを見ることができる。生まれたばかりの星が集まっており、太陽系からも比較的近いので、天文学者にとっては恒星の進化を調べるのにうってつけの観測対象だ。だがその正確な距離については、近年に至るまで多くの議論がなされてきた。
1989年に打ち上げられた欧州の観測衛星「ヒッパルコス」は、宇宙空間からの年周視差観測(地球の公転軌道上の異なる位置から天体を観測し、その視差から三角測量の要領で距離を求めること)を行い、11万個以上の恒星の位置カタログを作成した。だがプレアデス星団の距離(390光年前後)に関しては、他の手法での測定結果(430光年前後)よりもかなり近く、またこの星団の星々が恒星の進化モデルに当てはまらないことを示しており、疑問が呈されていた(参照「プレアデス星団までの距離が高精度で測定された」)。
米・カリフォルニア大学サンディエゴ校のCarl Melisさんらは、地球上の離れた場所にある電波望遠鏡の測定結果を合わせ(VLBIと呼ばれる手法)、年周視差を誤差25マイクロ秒角(およそ1.4億分の1度)という高精度で測定した。その結果、ヒッパルコスの測定値を否定する440〜448光年という値が求められた。
この研究成果により、プレアデス星団までの正確な距離を知るということのほかに、今年1月に打ち上げられたヒッパルコスの後継機「ガイア」の観測結果を同じ手法で確認できるという意義も期待される。