問題解決の糸口となるか、ろ座銀河団に大量の矮小銀河
【2015年11月26日 NOAO】
ろ座銀河団は地球から6200万光年の距離にあり、1億光年以内の領域では、おとめ座銀河団に次いで銀河数が多い銀河団だ。
セロ・トロロ・汎アメリカ天文台(CTIO:Cerro Tololo Inter-American Observatory)の4mブランコ望遠鏡で「次世代ろ座銀河団サーベイ(NGFS)」と名付けられた観測を行っている研究グループが、このろ座銀河団に多数の矮小銀河を発見した。
矮小銀河は非常に暗く、拡散している。星の分布密度は太陽近傍の約100万分の1、天の川銀河のバルジに比べるとわずか10億分の1しかない。「この矮小銀河の住人が見上げる夜空には、星がほとんどなくてとても退屈でしょう。銀河の中にいることに気づきさえしないかもしれません」(カトリカ・デ・チリ大学 Thomas Puziaさん)。
宇宙の物質分布の進化に関するコンピュータ・シミュレーションによれば、矮小銀河の数は、天の川銀河のように成長した銀河の数を大きく上回るはずだと考えられている。しかし実際に観測してみると、矮小銀河の数はシミュレーションによる予測に対し明らかに少ない。
シミュレーションが間違っているのか、それとも単純にまだ予測されている矮小銀河が見つかっていないだけなのか。この「ミッシング・サテライト(衛星銀河が見当たらない)問題」は宇宙論分野の謎の一つだが、今回の発見は、これまで見つかっていなかった矮小銀河がじょじょに発見されつつあることを示唆するものだろう。
〈参照〉
- National Optical Astronomy Observatory: NOAO: Oodles of Faint Dwarf Galaxies in Fornax Shed Light on a Cosmological Mystery
- The Astrophysical Journal Letters: Unveiling a Rich System of Faint Dwarf Galaxies in the Next Generation Fornax Survey 論文
〈関連リンク〉
- National Optical Astronomy Observatory: http://www.noao.edu/
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