星ナビ機材セレクション
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「セレストロン CPC1100GPS」
アストロアーツオンラインショップ特価
398,000円(税込)
星ナビ 2008年8月号
レポート/川村 晶+星ナビ編集部
2008年12月26日
最上級な導入精度
CPC1100を野外に持ち出し、実際の観望で使用してみた。
まずは、なんといっても初期設定とアライメントがシンプルなのがうれしい。GPSレシーバーを内蔵しているので、基本的には設置場所の緯度経度や時刻の入力は不要である。GPSレシーバーの性能のみに依存する部分だが、測位に必要な時間はかなり短いと感じた。さらに、自動導入を実現するためには望遠鏡の向きを内蔵のコンピューターに覚え込ませるためのアライメントが必要だ。CPC1100には、本誌2007年3月号で紹介したセレストロンNexStar6SEと同じ、スカイアラインと呼ばれるアライメント方法が採用されている。
スカイアラインは、基準星として空に見えている2.5等級以上の明るい星を3つ選び、コントローラーを使ってモーターを操作して、順番に視野の真ん中に導入していくというものである。ただし、架台を地面に水平に設置しておくことが必要である。
3つめの星を恒星を導入すると、天球の座標系と望遠鏡の向きを合致させる計算を行い、コントローラーに「Match Confirmed」と表示されれば、アライメントが完了したことになる。また、基準星にした星の名前を順に表示することができる。
このスカイアラインが秀逸なのは、星の名前などは知らなくても、手動操作の導入で、今見えている明るい星を自分で選択すればよいということだ。初期設定からアライメントまで、各種センサーを利用すれば、かなりの自動化が可能だが、手放しで高精度なアライメントを行うことは実際のところ困難である。また、内蔵のコンピューターの指定した星を導入するとしても、その星が建物や木立の影で見えないこともある。こうしたことを考えると、現時点ではもっとも実用的なアライメント方法といえる。
実際に異なる場所、日時で基準星も変えてアライメントを行い、いずれもアイピースにセレストロンのX-Cel 10mm(280倍、実視界0.2度)を使い、惑星や二重星をコントローラーから選択してみたところ、ほとんど視野の中に導入することができた。精度という点では申し分なく、小型の経緯台式自動導入天体望遠鏡とは格の違いが感じられた。
多少、導入精度が悪いと感じられる時には、シンクロ機能を使っての精度向上も可能だ。具体的な操作は割愛するが、コントローラーからの操作で鏡筒の向きを修正し、再度アライメントさせるというものである。
口径280mmのシュミカセ鏡筒は、最新の製品だけに、コーティングや鏡筒内部の造りもよく、像のコントラストは高いようだが、像質については当然のことながら一般的なシュミカセと変わらない印象だ。ただし、像の迫力は口径なりのもので、やはり小さな口径の望遠鏡とは比較にならない。
比較的光害の少ない場所で、春の夜空に散らばる系外銀河を眺めてみた。精度の高い自動導入で銀河が次々と視野に入ってくる。銀河の視直径、明るさ、特徴的な形状などの違いがよくわかり、楽しく観望できた。また、周囲が暗い場所では、土星や木星はまぶしいと感じるほど、明るく見ることができる。
反対に、明るい街中や月夜などでも、比較的輝度の高い球状星団や惑星状星雲は、視直径の大きなものなら少し高めの倍率でそれなりに認識可能だった。
このように高い導入精度と大口径が魅力のCPC1100だが、このクラスの天体望遠鏡としては価格的にも魅力がある。標準小売価格は63万円だが、望遠鏡販売店での店頭価格は2割ほど安い50万円ほどになっている。セレストロンでは、ほぼ同等な鏡筒を搭載する赤道儀仕様のAdvanced GT C11SやCGE1100XLTもラインアップされているが、こちらは実販でそれぞれ48万円と88万円ほどである。観望での使用に限るなら、使い勝手という点でもCPC1100をお薦めしたい。