星座八十八夜 #12 銀河中心方向にある星座「いて座」

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天の川銀河の中心方向にある〈いて座〉。〈いて座〉はヘルクレスの弓矢の先生ケイロン、〈ケンタウルス座〉は乱暴者の多いケンタウルスの中では珍しくおとなしいフォロス、とされることが多いです。

【2023年8月8日 アストロアーツ

星座八十八夜

「スマホで楽しむ星空入門」より抜粋)

見どころ

〈いて座〉は「黄道十二星座」のひとつで、11月22日~12月21日生まれの人の誕生星座となっています。ですからほとんどの人が〈いて座〉の名前を知っているでしょう。「いて(射手)」とは弓矢を射る人のことです。

〈いて座〉の目印は6つの星がヒシャクの形に並んだ「南斗六星」です。7、8月の23時ごろか、8月から9月の20時ごろ、南の空の低いところを見ると、6つの星が「北斗七星」に似た形に並んでいるのが見つかります。

「いて座」は、地球から見て、天の川銀河の中心の方向にあります。そのため、このあたりの天の川が最も濃く明るく見え、星雲や星団も多く見つかります。とくに散光星雲M8とM20が並んでいるのは絶景です。

いて座

星座の起源

古代バビロニアで半人半サソリの「パピルサグ」という怪物が描かれたのが〈いて座〉の原型だと考えられます。

中国では、ζ-τ-σ-φ-λ-μ(いずれも星の符号)がつくる「ヒシャク」の形を「斗宿」とし、これら6個の星を「南斗六星」と呼びました。南斗六星は、生命をつかさどる仙人であるとしていました。

西洋では、南斗六星を「ミルクディッパー(ミルクさじ)」と呼んでいました。天の川を英語で「ミルキーウェイ(ミルクの道)」と言いますから、このミルクさじ、まるでミルクをすくうために置かれているようです。また、南斗六星と近くの星を結んでみると、「ティーポット」の形ができ上がります。西洋ではこのティーポットを目印として使っていることが多いようです。ちなみに、そばにある星を結んだ「ティースプーン」もあります。

星座の物語

ギリシア神話では、ヘルクレスの4番目の冒険に、2人のケンタウルスが出てきます。

ヘルクレスが「どうもうなイノシシを生けどる」冒険に行く途中、ケンタウルス族が住んでいる山にさしかかりました。彼らの多くは、乱暴者の集まりでしたが、中には優しいケンタウルスもいました。ヘルクレスはそんなケンタウルスの一人、フォロスのところで食事をごちそうになりました。

ところが、ヘルクレスはフォロスが大事にしまっていたお酒を勝手に飲んでしまい、それを知って怒ったほかのケンタウルスと大げんかを始めてしまったのです。そのうえ、なんとケンタウルスたちの住んでいる洞くつに向けて、弓矢を打ち込んだのです。

ヘルクレスの矢には、ヒドラの猛毒が塗ってあったので、矢に当たったケンタウルスたちはバタバタと倒れていきました。その中には、ヘルクレスが少年のころ弓矢を教わったことのある賢者ケイロンもいたのです。心優しいケンタウルスのフォロスもこの騒ぎで死んでしまいました。

ケイロンを見つけて我に返ったヘルクレスは、深く反省し、とても悲しみました。天の上からこの騒ぎを見ていた神々も悲しんで、のちに賢者ケイロンと優しいフォロスを天に上げて星座にしてあげたということです。

〈いて座〉をケンタウルスとする場合は、弓矢が得意なケイロンを当てはめる場合がほとんどです。

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