わし座に再帰新星が出現、天の川銀河内で11個目
【2026年5月18日 高橋進さん】
米・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのD. Frostigさんたちは5月14日付のATel #17801で、わし座に再帰新星を発見したことを報告しました。

新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)
この天体はまず、米・パロマー天文台で行われている観測プロジェクトZTFの2026年4月23日の画像に19.64等(r等級)で写っていること、その20日後には13.77等(r等級)まで明るくなっていることが確認されました。また、パンスターズ計画での過去の画像では20.6等で写っており、爆発によって約7等増光したものと思われます。
新天体出現の報を受けて5月12日に米・ハワイ・マウナケア山のNASA赤外線望遠鏡施設(IRTF)で分光観測を行ったところ、水素・ヘリウムなどの強い輝線があり、ヘリウム輝線には急激な膨張を示すP-Cygプロファイルも見られ、この天体が新星であることが明らかにされました。
さらに2017年2月10日から4月8日でのASAS-SNサーベイでも15.5等(V等級)の増光が、また赤外線天文衛星ネオワイズの2010年3月31日の画像からも増光が検出されました。これらのデータから、この新星は周期約9年の再帰新星とみられています。
新星は白色矮星と主系列星(または赤色巨星)の近接連星で起こる爆発現象です。伴星から白色矮星に流入し降り積もっていったガスが臨界量を超えると、白色矮星で熱核融合の爆発が起こり、その増光が新星として観測されます。臨界量を超えて爆発が起こるのには通常だと数万年の年月がかかりますが、流入量が多かったり白色矮星の質量が大きかったりすると爆発間隔が短くなります。そして数十年の周期で爆発を起こすような、人類の観測史で複数回の爆発が見られる新星は、再帰新星(反復新星などとも)と呼ばれます。
これまでに天の川銀河の中で発見された再帰新星は、数年以内に爆発すると予想されているかんむり座Tなど10個しかありません。今回の11個目の再帰新星は、天の川銀河で最も周期が短い再帰新星となりました。なお、アンドロメダ座大銀河には約1年周期の再帰新星も見つかっています。
〈参照〉
- Transient Name Server:AT 2026lck
- ATel:Discovery of a likely new Galactic recurrent nova with ZTF, ASAS-SN, and NEOWISE.
〈関連リンク〉
- アストロアーツ 天体写真ギャラリー:新星・超新星・突発天体
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