【訃報】初代国立天文台長 古在由秀さん
【2018年2月13日 アストロアーツ/星ナビ編集部】
古在由秀さんは1928年4月1日生まれ。1951年に東京大学理学部天文学科を卒業され、翌1952年に東京大学附属東京天文台助手に就任。天体力学の専門家として1958年には米・スミソニアン天体物理観測所とハーバード大学天文台の客員研究員に就任され、惑星の衛星や人工衛星、小惑星などの天体力学の分野で数多くの業績を上げました。1959年に発表された人工衛星の軌道運動理論は、現在広く使われている人工衛星の軌道計算アルゴリズムの基礎理論となっています。
1962年には、軌道傾斜角と離心率が大きな小惑星の近日点引数がある条件の下で一定値の周りを秤動することを発見しました。このメカニズムは現在では「古在機構」と呼ばれ、小惑星だけでなく太陽系外縁天体や系外惑星、ブラックホール連星系など、様々な天体の軌道進化でこの現象が現れることが知られています。1979年には古在機構による秤動を示す小惑星が発見され、(3040) Kozaiと命名されました。
帰国後、1966年に東京大学附属東京天文台教授に就任、1979年には日本学士院賞・恩賜賞を受賞されました。1981年には東京天文台長に就任され、1988年に同天文台が国立天文台に改組されると同時に初代国立天文台長となり、後にすばる望遠鏡となる大型望遠鏡建設計画の実現に尽力されました。同じく1988年には日本人として初めて国際天文学連合の会長に就任されました。1997年からは群馬県立ぐんま天文台の台長を務めました。
古在由秀さんの訃報に接し、謹んで哀悼の意を表します。
〈参照〉
- 国立天文台:訃報:古在由秀 元国立天文台長
〈関連リンク〉
- Astronomical Journal:
- The motion of a close earth satellite 人工衛星の軌道理論に関する論文
- Secular perturbations of asteroids with high inclination and eccentricity 古在機構に関する論文
- 日本学士院:第69回恩賜賞・日本学士院賞 土星衛星、人工衛星及び小惑星の運動の研究
- 天文月報:シリーズ・天文学者たちの昭和
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