第13回 新しい事務所で心機一転!
(星ナビ2006年1月号に掲載)
2005年を振り返るにはまだちょっと早いけれど、振り返ってみると、何ともまあ息つく間もない状態で今までやってきたと思う。本当にわれながら呆れるくらいだ。愛・地球博(5〜7月号)やホームスター発売(8・10月号)、ドラマ化(9月号)、ネスカフェ ゴールドブレンドのCM出演(11月号)、国際宇宙会議(12月号)など大きな仕事が集中した。日本科学未来館へのメガスターII常設を果たした2004年にも増して、怒涛の日々となった。メガスターの知名度が大きく高まったことが、この状況を導いたことは間違いない。
それは僕にとってもちろん、ありがたく嬉しいことだ。でも、それに付随する課題もまた大きくなっている。需要に応えるには、仕事を十分こなせる体制も当然必要にもなってくるが、しかし最近の状態はどうだろう。なんとか会社にしたはいいけれど(※)、わずかひとりふたりの人数で、機材が山積みで足の踏み場もない環境で、増え続ける仕事に応じられるはずがない。部屋を広く、人も増やしたいけれど、その作業に割く時間さえなく、いつまでも過密スケジュールに追われ、請けたい仕事も請けられないというジレンマを抱えることになった。
そこで僕は決めたのだ。「2006年の1月から3月までの間、すでに決まっているものを除き、一切の仕事を請けず、環境整備、技術開発、スタッフ採用などの体制づくりの仕事に注力し、次の仕事をきちんと請けられるようにする!」と。
しかし、それを貫くのはそう簡単ではない。請けられない仕事は請けなければいい、といっても、付き合いのある関係先から、今までの仕事に関連した依頼となると断れないことも多く、かなりの仕事量になってしまう。メガスターが色々な意味で「旬」を迎えており、依頼が殺到するのは当たり前のことだ。その状況で体制を構築するというのは、まるで飛んでいる飛行機を空中で修理するようなもの。でも、それをしなければ、より良い仕事をできなくなってしまうと思うのだ。
そんな危機感の中でひとつの成果があがった。そう、新事務所の竣工と引っ越しだ。広くなった事務所では、あふれかえっていた機材を難なく収納し、スタッフ増員も受け入れ、落ち着いて開発に取り組むことができるだろう。これで心機一転、次の大きなステップに向けて踏み出したいと思っている。
※ 大平は、2005年2月に有限会社大平技研を設立した。