メガスターデイズ 〜大平貴之の天空工房〜

第34回 新著書の執筆

星ナビ2007年11月号に掲載)

「プラネタリウムを作りました。」から4年

僕の初の著書「プラネタリウムを作りました。」を出版したのは今から4年ほど前、2003年5月のこと。子どもの頃に植物や化学実験などに興味を持ちはじめたこと、そしてプラネタリウム作りを始めてから、メガスターが完成し公開に至るまでの道のりを描いた。

最初にエクスナレッジの今村氏から出版のお話をいただいたとき、自分の本を出すことに興味を持ったものの、メガスターII開発に追われる中、1冊の本を書き上げることが可能なのかどうか、なかなか首を縦に振れなかった。しかし今村氏の半ば強引な(失礼)口説きと、何より丁寧なお膳立てのもと、本を出せたのは本当に奇跡的だった。完成した本は僕のやってきたことを詳しく伝える内容となり、数々のマスメディア対応の参考用として、またドラマ化時の素材として、重要な役割を果たした。

さて、今再び、新著書の出版をすることになったのだ。1年以上前からあった話で、僕が忙しさにかまけてほったらかしにしていたが、ようやく動き出すことに。

プラネタリウム暦の第二ステージへ

「プラネタリウムを作りました。」が、ちょうどメガスターII完成&独立という大きな節目に出した本なら、次著は、この節目を境にフリーランスとなり、プラネタリウムで生計を立てていく身となった後のことを中心に描く話になる。僕のプラネタリウム歴の第二ステージとなるわけだ。

独立前でも描くできごとには事欠かなかったが、独立後はさらに物事の動きが加速する。渋谷東急文化会館でのメガスターII初公開にはじまり、横浜ランドマークタワーでのユーミンのイベント、川崎市青少年科学館、日本科学未来館での常設上映、ネスカフェのCM出演やテレビドラマ化、愛知万博への出展――今までのあわただしい歩みを振り返ると、これをどうやって一冊の本にまとめればよいのかと頭を抱えてしまうのである。

そんな中で追い討ちをかけるように編集者からリクエストがあった。「ソニー時代のプラネタリウム開発のことを盛り込んでほしい」と。知る人ぞ知る、僕がソニー在籍時に携わった幻のプラネタリウム開発計画のことである。僕の取り組みに共感したソニー経営陣の後押しでプロジェクト化されたものの、さまざまな事情で頓挫し、僕自身、退社の道を選ぶことになった。今まで多くを語ることの難しいエピソードだったけれども、僕の今までの道のりを語る上で重要なできごとには違いない。きれいごとに終わらせず、感謝も盛り込みながら率直な思いをできるだけ客観的に伝えるにはどうすればよいだろうか?悩んだ僕が決めたのは、ある有力者との対談を盛り込むことであった。

大平の新著(題名未定)は、2008年の春に、マガジンハウスから出版予定。どうぞお楽しみに(というか、がんばって書かなきゃ……!)。

プラネタリウムを作りました。

プラネタリウムを作りました。 ―7畳間で生まれた410万の星

大平貴之 著 / エクスナレッジ / 245ページ / 1,890円(税込)
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