打ち上げ30周年を迎えたボイジャー1号と2号

【2007年9月5日 JPL News Releases

1977年に打ち上げられたNASAの探査機ボイジャー1号と2号が打ち上げ30周年を迎えた。搭載されているすべての機器は今も正常に動作しており、冥王星の3倍以上離れた場所から、地球に向けてデータを送り続けている。


(飛行中のボイジャーの想像図)

飛行中のボイジャーの想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL )

NASAがボイジャーを打ち上げたのは1977年。8月20日にボイジャー2号が、続いて9月5日にボイジャー1号が宇宙へ飛びたった。

1979年に相次いで木星を通過した両探査機は、荒れ狂う大気や衛星イオの画像を地球へ送ってきた。また、ボイジャー1号は1980年に、2号は1981年にそれぞれ土星へ接近し、土星の環が近くの衛星の影響で波打つようすなどを写真に収めた。

木星と土星の探査を終えた後、ボイジャー2号は、当時まだ探査が行われていなかった外側の惑星へと向かった。そして、天王星に1986年1月に、海王星には1989年8月に接近した。

その後ボイジャー1号、2号は、さらに外側へと飛行を続け、太陽系の最外縁部を調べてきた。2004年12月に、1号は太陽から140億キロメートルの距離、太陽風が恒星間ガスの影響を受け始めている「太陽圏境界域」に到達した。

NASAの科学ミッション部門副長官のAlan Stern氏は「ボイジャー計画は、宇宙開発史にその名を刻んでいます。わたしたちの目を太陽系の外縁に向け、太陽の支配圏の限界へどんな探査機よりも深く切り込みました」と話している。

現在ボイジャー1号は、人工物としてはもっとも遠い位置にあり、その距離は太陽から約155億キロメートルだ。一方、ボイジャー2号は、太陽から125億キロメートルの距離に達している。

もはや太陽電池も使えない距離だが、放射性同位体を使った熱電池で、両探査機に搭載されている5つの機器は、すべて順調に作動している。未知の領域に吹く太陽風のようすやそこに存在する高いエネルギーをもつ粒子、磁場や電波などのデータの収集が続けられており、情報は片道14時間をかけて地球に届けられている。

ボイジャーのプロジェクト・マネージャーを務めるEd Massay氏は、「いまでも探査が続き、データが得られていることは、小人数ながらミッションを支えるチームの献身と技術力の証です」と話している。

なお、両探査機には銅版製のレコードが積まれており、地球上の音や画像、地球の位置を示す情報が収められている。ボイジャー1号、2号は、このレコードとともに、さらに太陽系の外へと旅を続ける。


ボイジャー1号、2号の位置と航路

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」では、ボイジャー1号、2号の現在位置と航路を表示することができます。