「ひので」、未知の太陽エネルギー源を発見か
【2009年4月14日 国立天文台】
太陽において黒点を伴う強い磁場はよく知られているが、日本の太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)が異なる性質の磁場を発見した。この磁場は黒点を伴うものよりもはるかに小さく短命で、太陽全面に存在している。
国立天文台を含む日米欧の国際研究チームは、太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)に搭載された可視光・磁場望遠鏡による観測から、これまで太陽に知られていたものとは異なる性質の磁場を発見した。
よく知られているのは、太陽の表面に対して垂直に伸びる磁場である。その断面に対応するのが黒点で、大きさ数万km、寿命は6日から2か月程度である。一方、今回新たに見つかった「短寿命水平磁場」は、大きさが約1000kmで、寿命は平均4分。その名のとおり、太陽の表面に対して水平な磁場だ。
また、黒点が太陽の中緯度から赤道付近でしか見られないのに対して、短寿命水平磁場は極域も含めた太陽全面で同じように出現している。どうやら、太陽の表面付近における物質の対流運動が、短寿命水平磁場のエネルギーを生み出しているらしい。これに対して黒点を形成するのは、極域よりも赤道付近の方が速く自転することで引き伸ばされた磁場である。
黒点とは違って小規模な短寿命水平磁場だが、どこにでも同じように出現し、しかも発生頻度が高いため、すべてを合わせた磁場エネルギーはひじょうに大きい。研究チームは、このメカニズムが彩層・コロナ加熱問題の解明につながるのではないかと期待している。
太陽表面が6000度であるのに対して、大気に相当する彩層は1万度、さらに上層のコロナは100万度にも加熱されていて、その理由はわかっていない。研究チームによれば、これまで知られていた垂直磁場に短寿命水平磁場が衝突することで彩層・コロナを加熱している可能性があるという。