太陽フレア予報の鍵は、ねじれる磁場
【2010年1月26日 NOAA】
米海洋大気庁(NOAA)宇宙天気予報センターの研究者が、太陽フレアの発生を2、3日前までに、しかも従来より正確に予測する方法を発見したと発表した。予測の鍵は、太陽表面でねじれる磁場の変化にあるという。
巨大な太陽フレアは、発生すると莫大なエネルギーを放出する。そのエネルギーは、あらゆる方向へ光速で進み、たった8分で地球に届き、上層大気(電離層)に入り込む。高度の高い軌道を回っているGPS衛星は、即座にその影響を受ける。
すると、軍用・民間の航空機や船舶の運行をはじめ、石油の掘削や金融取引、災害警報にいたるまで、GPS衛星に頼るさまざまな分野が深刻なリスクにさらされる。そのため、太陽フレアの予測を目指した発生兆候に関する研究が進められている。
現在行われている太陽フレアの予測は、黒点の周辺領域を見て「大きなフレアが起きるかも知れない」という警報を発信するにとどまっていて、いつ、どこでといった詳しい情報は含まれていない。
米海洋大気庁(NOAA)宇宙天気予報センターのReinard氏らの研究チームは、アメリカ国立科学財団(NSF)の太陽観測ネットワーク(GONG)が作成した、1000個以上の黒点を含む地図を詳しく調べた。
同氏らは、別々の領域でよく似た現象が起きていることに気づいた。その現象とは、最初ゆるやかだった磁場のねじれが、表面下のガスの流れに影響されてきつくなり、ねじれが解消されるとともに解放されたエネルギーで巨大なフレアが発生するというものである。研究チームでは、太陽フレアを予測するためにこの現象が利用できることを明らかにした。
Reinard氏は「このような磁場の変化が、直接目で見ることのできない太陽表面で繰り返されているのです。これこそ、巨大太陽フレアの予測に必要な鍵です」「初めて、太陽フレアがいつ、どこで、どれくらいの規模で起きるのかを2、3日前もって知ることができるようになりました」と話している。
同氏らによると、新しい予測法は従来に比べて2倍も正確なうえ、発生数についても今後数年をかければ向上が期待できるという。さらに、次に太陽が活動の最盛期を迎えると予測されている2013年までには、警報を含め信頼できる情報の発信が可能となるようだ。