ISSの観測装置「MAXI」、小マゼラン雲に奇妙なX線新星を発見
【2011年11月18日 MAXIサイエンスニュース】
国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に設置されているX線監視装置「MAXI」が、小マゼラン雲の外周で短期間だけ輝いたX線新星を発見した。どうやら発生源は、恒星になる前の星と白色矮星との連星のようだ。
11月11日14時5分59秒(日本時間)、南天にある小マゼラン雲の端で、短時間だけ輝いたX線新星が発見された。天体はMAXI J0158-744、X線が観測されたバースト現象の名前はXRF111111Aと名づけられた。
X線の最高強度は、強いX線源として知られるかに星雲の4割程度で、低エネルギーのX線で強く輝く「超軟X線新星」と呼ばれる新星が誕生する瞬間を捉えたものだとわかった。「MAXI」による発見から約5時間20分後にNASAのガンマ線観測衛星「スウィフト」が追観測を行い、「MAXI」が発見した方角に、これまでのX線天体カタログにはない、ハービッグAe/Be型星に分類される恒星が存在しているのを発見した。ハービッグAe/Be型星とは、年齢が1000万年よりも若い成長途上のある、太陽より2〜8倍程度重い天体だ。
スウィフトの観測とX線のエネルギー強度を考えると、MAXIが捉えたのは「スーパーソフトソース(SSS)」という、白色矮星と恒星の連星系で起きる爆発現象ではないかと考えられる。この現象は、主星のガスが白色矮星に流れ込んで行き、表面に溜まったガスが急に核融合反応を始めることで急に明るくなり、X線を放出するプロセスのことだ。爆発的に明るくなった後、定常的に核融合を起こして弱いX線を出していると考えられ、スウィフトの観測時には既にMAXIが観測したときの100分の1程度のX線強度しかなかった。
ただ現時点でわかっているのは、今回のX線新星のプロセスがSSSらしいということと、新星が見られた場所にハービッグAe/Be型星が発見されたということだけで、ハービッグAe/Be型星とSSSとの関係はまだよくわかっていない。これらは今後の研究課題となっている。