消えたアイと輝くラブ 「ひので」と「MITSuME」がとらえた2彗星

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【2013年12月5日 JAXA ISAS岡山天体物理観測所

アイソン彗星は消滅したが、明け方の北東の空にはラブジョイ彗星(C/2013 R1)が双眼鏡で見える明るさで輝きつづけている。2つの彗星の対照的な運命を、日本の望遠鏡がとらえた。


衛星「ひので」が撮影した太陽のX線像

「ひので」による太陽のX線画像。太陽に最接近するアイソン彗星をとらえる可能性があったが、ついにその姿を現すことはなかった。クリックで拡大(提供:国立天文台/JAXA)

太陽観測衛星「ひので」は11月29日未明(日本時間、以下同)、アイソン彗星(C/2012 S1)が太陽に最接近したのとほぼ同時に太陽のX線撮影を行った。

午前3時45分の画像右側に写っている明るい光は太陽の南東の縁の上空に広がる低層コロナだ。アイソン彗星はこの望遠鏡の視野の下(南)から左上(北東)に抜けていくはずだったが、通過が予測された3時3分から4時20分の画像には、彗星と思われる像は確認できなかったという。

ひのでは同じX線望遠鏡で、2011年12月16日に太陽に最接近しその後大彗星になったラブジョイ彗星(C/2011 W3)をひじょうに淡いながらもとらえている。今回のアイソン彗星は、この撮影時刻にはすでに核が崩壊してしまっていたのだろう。


「MITSuME」が撮影したラブジョイ彗星

岡山天体物理観測所の50cm望遠鏡「MITSuME」が12月2日に撮影したラブジョイ彗星(彗星核を強調処理)。大きく明るいコマの力強い輝きをぜひ双眼鏡で見てみよう。クリックで拡大(提供:国立天文台)

アイソン彗星が消えてしまった今、「彗星に興味が出てきた」「入手した双眼鏡を活用したい」、そんな人におすすめなのがラブジョイ彗星(C/2013 R1)だ。

太陽のすぐ近くをかすめていったアイソン彗星と違い、ラブジョイ彗星は12月23日の最接近でも、太陽〜地球の8割程度の距離までしか近づかない。そのためアイソン彗星に期待されていたような肉眼大彗星になる見込みは現時点ではないが、明け方の北東の空で、位置、明るさ(4等級)とも見やすくなっている。双眼鏡を使うと見つけやすいだろう。空がよく開けてじゅうぶん暗い場所なら、日没後に北西の低い空でも見えるかもしれない。

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