チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星はアヒル型
【2014年7月18日 ヨーロッパ宇宙機関】
欧州の探査機「ロゼッタ」が目標天体チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を撮影し、2つの塊がくっついたようなその形状が初めて明らかになった。8月には探査機がいよいよ彗星に到着、探査を開始する予定だ。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への到着を来月にひかえ、探査機「ロゼッタ」が目標天体のはっきりした形状をとらえた。7月14日に撮影された彗星は2つの部分に分かれていて、お風呂に浮かべるアヒルのおもちゃを思わせる姿だ。
2つの塊がくっついたような「接触連星」型は彗星や小惑星によく見られるもので、探査機「はやぶさ」が観測した小惑星イトカワなどもおなじみの例だ。
イトカワの場合は2つの部分の密度が異なるという研究成果(参照:小惑星イトカワ、ラッコの頭は重かった)も発表されており、そこから「2つの天体が衝突合体したもの」という見方が有力になる。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星について詳しいことがわかるのはこれからなので、さまざまな可能性が考えられる。前述したような2天体の合体によるものかもしれない。もとから1つの天体だったが大型天体の強い重力による潮汐作用で変形した、あるいは激しい天体衝突や彗星活動(物質揮発やアウトバースト)がきっかけで非対称に崩れたのかもしれない。
8月6日のランデブーに向けてさらに近づくと見えてくる詳しい形のデータは、まずは探査機の軌道や着陸場所の検討に役立てられる。無事観測探査が進めば、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の形成過程を知る多くの手がかりが得られることだろう。
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