土星のF環と羊飼い衛星の起源をシミュレーションで解明

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コンピュータシミュレーションにより、土星のF環とその羊飼い衛星「プロメテウス」「パンドラ」が、土星衛星の形成過程の最終段階で自然な副産物として形成されることが明らかにされた。

【2015年8月19日 神戸大学国立天文台 天文シミュレーションプロジェクト

土星の環は土星本体からの距離に応じて複数の部分に分かれている。そのうちF環は、1979年にNASAの探査機「パイオニア11号」が発見した幅数百kmの細い環で、幅が数万kmに及ぶ主要な環の外側に位置している(地上の天体望遠鏡でよく見えるのはA~C環で、F環はA環のすぐ外にある)。

また、F環の内側には「プロメテウス」、外側には「パンドラ」という2つの羊飼い衛星があり、環の形状を保っている。F環とプロメテウス、パンドラはNASAの探査機「ボイジャー」や「カッシーニ」によって詳細に観測されているものの、その形成過程や起源はこれまで明らかになっていなかった。

F環と羊飼い衛星プロメテウス(右=内側)、パンドラ(左)
F環と羊飼い衛星プロメテウス(右=内側)、パンドラ(左)(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

神戸大学の兵頭龍樹さんと大槻圭史さんは国立天文台の計算機「GRAPE」等を用いてコンピュータシミュレーションを行い、環と衛星が作られる過程を追った。その結果、核を持つ小衛星同士が衝突を起こすと衛星が部分的に破壊され、生き残った2つの衛星が羊飼い衛星に、間に挟まれた軌道に分布する粒子がF環になる様子が再現された。

最新の衛星形成理論によると、土星衛星系の形成過程の最終段階で密度の高い核を持つ小衛星が複数形成されると考えられており、カッシーニによる観測でも小衛星は密度の高い核を持つことが示唆されているが、今回の結果はこうした先行研究や観測ともよく合うものだ。F環とその羊飼い衛星プロメテウス、パンドラは、土星衛星系の形成過程の最終段階で自然な副産物として形成されたといえる。

環と羊飼い衛星の形成メカニズムは、同様な環と羊飼い衛星を持つ天王星にも当てはめることができ、太陽系内外の衛星系形成を解明する一端となることが期待されている。

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